2024年2月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

2月期に認定された死者数50人、死傷者数8197人

 3月19日、厚労省が2月集計分の労働災害発生状況を公表し、2月8日~3月7日(以下「2月期」)までの1ヶ月で、2024年1月以降2月末までの労災事故について、新たに死者数50人、死傷者数8197人が明らかになりました。

 累計で2024年の労災死者数は現在87人となっており、前年の同時期の85人より2.4%増加しています。

 一方で死傷者数は12246人と、前年同時期の12254人より8人、0.1%減少しています。

2月期の主な書類送検事案

◾️ベトナム人技能実習生が挟まれて意識不明

 2月13日、愛知労働局・半田労働基準監督署が、鋼構造物工事会社らを書類送検しました。工場で、つり上げ荷重4.8トンのクレーンの玉掛け作業中、架台に置かれていたH形鋼に、クレーンに取り付けられていた玉掛け用具が接触してH形鋼が倒れ、床に並べていたH形鋼がドミノ倒しとなり、H形鋼とH形鋼との間に胸部を挟まれた下請会社のベトナム人技能実習生が意識不明の重体となりました。法定の技能講習を修了していない労働者につり上げ荷重1トン以上のクレーンの玉掛け作業を行わせたとして、労働安全衛生法第61条、労働安全衛生法施行令第20条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生法第61条には、次のように定められています。

 事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。

2 前項の規定により当該業務につくことができる者以外の者は、当該業務を行なつてはならない。

3 第一項の規定により当該業務につくことができる者は、当該業務に従事するときは、これに係る免許証その他その資格を証する書面を携帯していなければならない。

4 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項(同法第二十七条の二第二項において準用する場合を含む。)の認定に係る職業訓練を受ける労働者について必要がある場合においては、その必要の限度で、前三項の規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。

労働安全衛生法第61条(就業制限)

■60代の労働者が転落死

 2月19日、神奈川労働局・横浜西労働基準監督署が、土木建築請負会社と同社の職長を書類送検しました。河川改修工事現場において、60代の労働者がドラグ・ショベルを運転してフレキシブルコンテナバッグ2袋を同時につり上げて移動させようとしたところ、ドラグ・ショベルが前方に傾き、約3メートル下の川底に転落死しました。あらかじめドラグ・ショベルの作業計画を策定していなかったとして、労働安全衛生法第20条、クレーン等安全規則第66条の2に違反した疑いによります。

 クレーン等安全規則第66条の2には、次のように定められています。

 事業者は、移動式クレーンを用いて作業を行うときは、移動式クレーンの転倒等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該作業に係る場所の広さ、地形及び地質の状態、運搬しようとする荷の重量、使用する移動式クレーンの種類及び能力等を考慮して、次の事項を定めなければならない。

一 移動式クレーンによる作業の方法

二 移動式クレーンの転倒を防止するための方法

三 移動式クレーンによる作業に係る労働者の配置及び指揮の系統

2 事業者は、前項各号の事項を定めたときは、当該事項について、作業の開始前に、関係労働者に周知させなければならない。

クレーン等安全規則第66条の2(作業の方法等の決定等) 

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