2024年1月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

1月期に認定された死者数37人、死傷者数4049人

 2月19日、厚労省が1月集計分の労働災害発生状況を公表し、1月9日~2月7日(以下「1月期」)までの1ヶ月で、2024年1月以降1月末までの労災事故について、新たに死者数37人、死傷者数4049人が明らかになりました。

 累計で2024年の労災死者数は現在37人となっており、前年の同時期の32人より15.6%増加しています。

 一方で死傷者数は4049人と、前年同時期の3901人より148人、3.8%増加しています。

1月期の主な書類送検事案

◾️フォークリフトの無資格運転で70代の労働者が転落死

 1月15日、埼玉労働局・さいたま労働基準監督署が、運送会社と同社の課長を書類送検しました。同社の敷地内で70代の労働者がフォークリフトを使用してトラックに荷物の積み込み作業をしていたところ、荷台後部から降りようとして足を踏み外してトラックの荷台から転落しフォークに腹を打ちつけて死亡しました。フォークリフトの運転資格を持っていないにもかかわらず運転させたとして、労働安全衛生法第61条、労働安全衛生法施行令第20条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生法第61条には、次のように定められています。

 事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。

2 前項の規定により当該業務につくことができる者以外の者は、当該業務を行なつてはならない。

3 第一項の規定により当該業務につくことができる者は、当該業務に従事するときは、これに係る免許証その他その資格を証する書面を携帯していなければならない。

4 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項(同法第二十七条の二第二項において準用する場合を含む。)の認定に係る職業訓練を受ける労働者について必要がある場合においては、その必要の限度で、前三項の規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。

労働安全衛生法第61条(就業制限)

◾️60代の派遣労働者がフォークリフトにひかれて死亡

 1月19日、愛知労働局・豊橋労働基準監督署が、産業廃棄物処理会社と同社の営業部長を書類送検しました。同社のリサイクルセンターにて、廃棄物を歩いて運んでいた60代の派遣労働者が、後方から走行してきたフォークリフトにひかれて死亡しました。フォークリフト作業に際して、誘導員の配置や立ち入り禁止などの接触防止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第151条の7に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第151条の7には、次のように定められています。

 事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、運転中の車両系荷役運搬機械等又はその荷に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。ただし、誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を誘導させるときは、この限りでない。

2 前項の車両系荷役運搬機械等の運転者は、同項ただし書の誘導者が行う誘導に従わなければならない。

労働安全衛生規則第151条の7(接触の防止)

◾️労働者が浮きクレーンと岸壁の間に挟まれて死亡

 1月25日、島根労働局・浜田労働基準監督署が、建設会社と同社の現場代理人、土木部次長を書類送検しました。漁港の耐震化工事において浮きクレーンを設置するために、浮きクレーンを作業位置に移動させようとしたところ水中コンクリート型枠に接触し、潜水して型枠の脱型作業中だった労働者が浮きクレーンと岸壁の間に挟まれて死亡しました。関係請負人の労働者が同一の場所で作業するにもかかわらず、特定元方事業者が作業間の連絡・調整等の措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第30条、労働安全衛生規則第636条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第636条には、次のように定められています。

 特定元方事業者は、法第三十条第一項第二号の作業間の連絡及び調整については、随時、特定元方事業者と関係請負人との間及び関係請負人相互間における連絡及び調整を行なわなければならない。

労働安全衛生規則第636条(作業間の連絡及び調整)

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