2024年3月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

3月期に認定された死者数37人、死傷者数9409人

 4月18日、厚労省が3月集計分の労働災害発生状況を公表し、3月8日~4月4日(以下「3月期」)までの1ヶ月で、2024年1月以降3月末までの労災事故について、新たに死者数37人、死傷者数9409人が明らかになりました。

 累計で2024年の労災死者数は現在124人となっており、前年の同時期の152人より18.4%減少しています。

 一方で死傷者数は21655人と、前年同時期の21864人より209人、1.0%減少しています。

3月期の主な書類送検事案

◾️20代の労働者が頭を挟まれて死亡

 3月12日、長野労働局・中野労働基準監督署が、製造会社と同社の製造副長を書類送検しました。工場でコンクリート製品を製造している際に、安全装置が作動していなかった圧縮成形機に20代の労働者が頭を挟まれて死亡しました。圧縮成形機の安全装置の作動を確認しなかったとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第28条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第28条には、次のように定められています。

 事業者は、法及びこれに基づく命令により設けた安全装置、覆い、囲い等(以下「安全装置等」という。)が有効な状態で使用されるようそれらの点検及び整備を行なわなければならない。

労働安全衛生規則第28条(安全装置等の有効保持)

■伐採した木が激突して60代の労働者死亡

 3月13日、岩手労働局・宮古労働基準監督署が、生産者協同組合と同組合の現場責任者を書類送検しました。山林で伐採作業中の60代の労働者に、伐採された木が激突し、死亡しました。合図によって他の労働者の退避を確認しないまま、伐倒作業をさせたとして、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第479条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第479条には、次のように定められています。

 事業者は、伐木の作業を行なうときは、伐倒について一定の合図を定め、当該作業に関係がある労働者に周知させなければならない。

2 事業者は、伐木の作業を行う場合において、当該立木の伐倒の作業に従事する労働者以外の労働者(以下この条及び第四百八十一条第二項において「他の労働者」という。)に、伐倒により危険を生ずるおそれのあるときは、当該立木の伐倒の作業に従事する労働者に、あらかじめ、前項の合図を行わせ、他の労働者が避難したことを確認させた後でなければ、伐倒させてはならない。

3 前項の伐倒の作業に従事する労働者は、同項の危険を生ずるおそれのあるときは、あらかじめ、合図を行ない、他の労働者が避難したことを確認した後でなければ、伐倒してはならない。

労働安全衛生規則第479条(伐倒の合図)

■派遣労働者が破砕機のベルトコンベヤーに巻き込まれて死亡

 3月18日、山口労働局・下松労働基準監督署が、建築物解体会社と同社の代表取締役を書類送検しました。産業廃棄物中間処理場で、作業をしていた派遣労働者が破砕機のベルトコンベヤーに巻き込まれて死亡しました。ベルトコンベヤーに非常停止装置を備えていなかったとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第151条の78に違反した疑いによります。 

 労働安全衛生規則第151条の78には、次のように定められています。

 事業者は、コンベヤーについては、労働者の身体の一部が巻き込まれる等労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、非常の場合に直ちにコンベヤーの運転を停止することができる装置(第百五十一条の八十二において「非常停止装置」という。)を備えなければならない。

労働安全衛生規則第151条の78(非常停止装置)

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