2023年7月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案
7月期に認定された死者数58人、死傷者数1万1257人
8月17日、厚労省が7月集計分の労働災害発生状況を公表し、7月8日~8月7日(以下「7月期」)までの1ヶ月で、2023年1月以降7月末までの労災事故について、新たに死者数58人、死傷者数1万1257人が明らかになりました。
累計で2023年の労災死者数は現在360人となっており、前年の同時期の393人より8.4%減少しています。
一方で死傷者数は6万4213人と、前年同時期の6万3553人より660人、1.0%増加しています。
7月期の主な書類送検事案
◾️3階の窓から転落して労働者が死亡
7月19日、福井労働局・福井労働基準監督が、運送会社と同社の取締役を書類送検しました。客先の会社の敷地内で、複数人でクレーンを使って業務用のコピー機を搬入する作業中に、搬入した後の空箱を3階窓から地上に下ろす際、労働者が3階の窓から転落して死亡しました。墜落制止用器具の使用や、囲いや手すりなどを設けるなどの墜落防止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第519条に違反した疑いによります。
労働安全衛生規則第519条には、次のように定められています。
事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆おおい等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。
2 事業者は、前項の規定により、囲い等を設けることが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。
労働安全衛生規則第519条(作業床の設置等)
◾️伐採作業中、木の下敷きになり79歳労働者が死亡
8月1日、岡山労働局・津山労働基準監督署が、建設会社と同社の代表取締役を書類送検しました。枯れた松をチェーンソーで伐採する作業中に、先に伐採した木の枝を払う作業をしていた79歳の労働者が、伐採した松の下敷きになり死亡しました。木が倒れる合図を周囲にいる他の労働者に周知しなかったことと、倒す木の高さの2倍の距離を半径とする円形の内側に対する立ち入り禁止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第481条に違反した疑いによります。
労働安全衛生規則第481条には、次のように定められています。
事業者は、造林、伐木、かかり木の処理、造材又は木寄せの作業(車両系木材伐出機械による作業を除く。以下この章において「造林等の作業」という。)を行っている場所の下方で、伐倒木、玉切材、枯損木等の木材が転落し、又は滑ることによる危険を生ずるおそれのあるところには、労働者を立ち入らせてはならない。
2 事業者は、伐木の作業を行う場合は、伐倒木等が激突することによる危険を防止するため、伐倒しようとする立木を中心として、当該立木の高さの二倍に相当する距離を半径とする円形の内側には、他の労働者を立ち入らせてはならない。
3 事業者は、かかり木の処理の作業を行う場合は、かかり木が激突することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるところには、当該かかり木の処理の作業に従事する労働者以外の労働者を立ち入らせてはならない。
労働安全衛生規則第481条(立入禁止)