2023年6月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

6月期に認定された死者数58人、死傷者数1万755人

 7月18日、厚労省が6月集計分の労働災害発生状況を公表し、6月8日~7月7日(以下「6月期」)までの1ヶ月で、2023年1月以降6月末までの労災事故について、新たに死者数58人、死傷者数1万755人が明らかになりました。

 累計で2023年の労災死者数は現在302人となっており、前年の同時期の322人より6.2%減少しています。

 一方で死傷者数は5万2956人と、前年同時期の5万2813人より143人、0.3%増加しています。

6月期の主な書類送検事案

■80代の労働者が挟まれて死亡

 6月15日、長野労働局・小諸労働基準監督署が、有限会社と同社の社長を書類送検しました。観光農園において、80歳のアルバイトがドラグ・ショベルで木材チップをすくい上げてアームを上げたまま、その近くで不整地運搬車を運転してバックさせた際に、ドラグ・ショベルのバケットと不整地運搬車の運転席フレームとの間に挟まれて死亡しました。ドラグ・ショベルと不整地運搬車を使用する際に義務付けられている、運行方法や作業方法を定めた作業計画を定めていなかったとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第155条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第155条には、次のように定められています。

事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、あらかじめ、前条の規定による調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行なわなければならない。

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。

一 使用する車両系建設機械の種類及び能力

二 車両系建設機械の運行経路

三 車両系建設機械による作業の方法

3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項第二号及び第三号の事項について関係労働者に周知させなければならない。

労働安全衛生規則第155条(作業計画)

■20代の労働者が墜落死

 6月21日、兵庫労働局・西宮労働基準監督署が、建設会社Aと同社の取締役、別の建設会社Bと同社の取締役を書類送検しました。港湾施設の穀物サイロにチェーンコンベヤーを設置する工事現場で、20代の労働者がコンベヤー設置予定の幅80センチ、長さ約3メートルの開口部から、約5メートル下に転落し、死亡しました。囲いや手すりの設置などの墜落防止措置を講じなかったとして、建設会社Aは労働安全衛生法第31条、労働安全衛生規則第653条に、建設会社Bは労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第519条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第519条には、次のように定められています。

 事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆おおい等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。

2 事業者は、前項の規定により、囲い等を設けることが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則第519条(作業床の設置等)

 労働安全衛生規則第653条には、次のように定められています。

 注文者は、法第三十一条第一項の場合において、請負人の労働者に、作業床、物品揚卸口、ピツト、坑又は船舶のハツチを使用させるときは、これらの建設物等の高さが二メートル以上の箇所で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるところに囲い、手すり、覆おおい等を設けなければならない。ただし、囲い、手すり、覆おおい等を設けることが作業の性質上困難なときは、この限りでない。

2 注文者は、前項の場合において、作業床で高さ又は深さが一・五メートルをこえる箇所にあるものについては、労働者が安全に昇降するための設備等を設けなければならない。

労働安全衛生規則第653条(物品揚卸口等についての措置)

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