2023年8月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

8月期に認定された死者数68人、死傷者数1万1918人

 9月19日、厚労省が8月集計分の労働災害発生状況を公表し、8月8日~9月7日(以下「8月期」)までの1ヶ月で、2023年1月以降8月末までの労災事故について、新たに死者数68人、死傷者数1万1918人が明らかになりました。

 累計で2023年の労災死者数は現在428人となっており、前年の同時期の457人より6.3%減少しています。

 一方で死傷者数は7万6131人と、前年同時期の7万4376人より1755人、2.4%増加しています。

8月期の主な書類送検事案

■解体用つかみ機が激突して労働者が死亡

 8月16日、茨城労働局・古河労働基準監督署が、解体工事会社と同社の専務を書類送検しました。資材置き場において、労働者がくぎを拾う作業をしていたところ、専務が運転する解体用つかみ機に激突され、頸椎損傷などの重傷を負い、1か月後に死亡しました。運転中の解体用つかみ機に接触する危険がある場所に労働者を立ち入らせたとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第158条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第158条には、次のように定められています。

 事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、運転中の車両系建設機械に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に、労働者を立ち入らせてはならない。ただし、誘導者を配置し、その者に当該車両系建設機械を誘導させるときは、この限りでない。

2 前項の車両系建設機械の運転者は、同項ただし書の誘導者が行なう誘導に従わなければならない。

労働安全衛生規則第158条(接触の防止)

◾️60代の労働者が転落死

 8月24日、和歌山労働局・和歌山労働基準監督署が、建具製造会社と同社の代表取締役を書類送検しました。同社の工場において、製品である木製のドア(幅約90センチ、高さ約180センチ、重量約7キロ)を作業所内の階段で1階から2階に運んでいた60代の労働者が転落し、頭を強く打ってその3か月後に死亡しました。階段に手すりの設置がなく、労働者が使用するための安全な通路を設けていなかったとして、労働安全衛生法第23条、労働安全衛生規則第540条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第540条には、次のように定められています。

 事業者は、作業場に通ずる場所及び作業場内には、労働者が使用するための安全な通路を設け、かつ、これを常時有効に保持しなければならない。

2 前項の通路で主要なものには、これを保持するため、通路であることを示す表示をしなければならない。

労働安全衛生規則第540条(通路)

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