2023年4月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案
4月期に認定された死者数36人、死傷者数1万1956人
5月18日、厚労省が4月集計分の労働災害発生状況を公表し、4月8日~5月8日(以下「4月期」)までの1ヶ月で、2023年1月以降4月末までの労災事故について、新たに死者数36人、死傷者数1万1956人が明らかになりました。
累計で2023年の労災死者数は現在188人となっており、前年の同時期の227人より17.2%減少しています。
一方で死傷者数は4万4976人と、前年同時期の4万8286人より3310人、6.9%減少しています。うち主に感染症による労災は、今年度4月期は1万3822人、前年度同時期は1万7115人ですが、それを省くと17人程度減少しています。
4月期の主な書類送検事案
■食料品メーカーで労災かくし
4月20日、新潟労働局・小出労働基準監督署により、食料品メーカーと同社の前工場長を書類送検しました。同工場において、製造作業中の労働者が台から転落して骨折により約2カ月休業していました。また、別の日には労働者が転倒して骨折により約1カ月休業しました。それにもかかわらず、労働基準監督署に労働者死傷病報告を提出しなかったとして、労働安全衛生法第100条、労働安全衛生規則第97条に違反した疑いによります。
労働安全衛生規則第97条には、次のように定められています。
事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第二十三号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2 前項の場合において、休業の日数が四日に満たないときは、事業者は、同項の規定にかかわらず、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間における当該事実について、様式第二十四号による報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
労働安全衛生規則第97条(労働者死傷病報告)
■工場の屋根の塗装作業中、墜落死
4月24日、香川労働局・観音寺労働基準監督署が、建設会社と同社の現場監督を書類送検しました。労働者が、工場の屋根の塗装作業中に、約15メートルの高さの屋根の上から工事用の足場に移動しようとして、足場の手すりと足場板の間から墜落死しました。墜落防止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第519条に違反した疑いによります。
労働安全衛生規則第519条には、次のように定められています。
事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆おおい等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。
2 事業者は、前項の規定により、囲い等を設けることが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。
労働安全衛生規則第519条(作業床の設置等)