「まだ治らないの?」労災の打ち切りを迫られたとき/療養から1年半が経ったときの注意点
業務災害による負傷・疾病の場合、傷病が治ってなく出勤できない状態が続いている限り、休業補償給付、療養補償給付を受け続けることができます。
けれども休業が長く続くと、会社や労基署から「まだ怪我・病気が治らないのか」「もう働けるのではないか」「どんな治療をしているのか」などと言われ、労災給付が打ち切られてしまうのではないかと不安を抱えた方からの相談がユニオンによく寄せられます。
そのようなときの対処法をお伝えします。
就労可否の判断をするのはあくまで医師
まず、当然のことながら、主治医から療養が必要であり就労不可と診断されているのであれば、会社や労基署が勝手に労災を打ち切ったり出勤を命じることはできません。
怪我の痛みや体調不良があれば、主治医にありのまま伝えて、就業できないという診断を受けてください。そして、就労不可の診断書を会社に提出したり、状況を会社や労基署に説明してください。
万一、主治医が被災者の方の訴えを聞いてくれず、無理矢理出勤するように言われるようでしたら、病院を変えても良いかもしれません。
1年半を超えて療養が続く場合
療養開始から1年6か月を経過しても傷病が治らず、要件に該当すると、それまでの休業補償給付が傷病補償年金に移行します。
傷病等級1級から3級に該当する場合は、傷病補償年金へ切り替わり、休業補償給付は支給されなくなります。
傷病等級 | 年金額 | 傷病特別支給金(一時金) | 傷病特別年金 |
第1級 | 給付基礎日額の313日分 | 114万円 | 算定基礎日額の313日分 |
第2級 | 給付基礎日額の277日分 | 107万円 | 算定基礎日額の277日分 |
第3級 | 給付基礎日額の245日分 | 100万円 | 算定基礎日額の245日分 |
移行するかどうかは労働基準監督署長の職権で決定され、労働者からの申請手続きはありませんが、労災の療養開始から1年6か月が経過しても傷病が治っていないときは、そこから1か月以内に、労働者は労基署へ「傷病の状態等に関する届」を提出しなければなりません
傷病等級1級から3級に該当しない場合は、そのまま休業補償給付を受け続けられます。
また、いずれの場合も、医療費についての療養補償給付は引き続き受け続けることができます。
症状固定に至ったら
その後、治癒(症状固定)になって治療が終了するときは、労災からの療養補償給付、休業補償給付は支給が終了します。
症状固定になった後で後遺症が残る場合は、障害等級に該当していれば、障害補償給付(年金または一時金)が支給されます。
困ったことがあれば労災ユニオンへご相談ください
会社や労基署から「まだ治らないの?」と言われたり、労基署から傷病の状態についての書類提出を求められたりすると、労災保険が打ち切られてしまうのではないかと不安になる労働者の方も少なくないと思いますが、そうとは限りません。
もしお困りのことがあれば、私たち労災ユニオンにご連絡ください。