2022年12月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案
12月期に認定された死者数60人、死傷者数2万6665人
1月18日、厚労省が12月集計分の労働災害発生状況を公表し、12月8日~1月10日(以下「12月期」)までの1ヶ月で、2022年1月以降12月末までの労災事故について、新たに死者数60人、死傷者数2万6665人が明らかになりました。
累計で2022年の労災死者数は現在718人となっており、前年の同時期の779人より7.8%減少しています。
一方で死傷者数は23万6664人と、前年同時期の13万5358人より10万1306人、74.8%増加しています。うち主に感染症による労災は、今年度12月期は11万9358人、前年度同時期は1万9002人ですが、それを省くと950人程度増加しています。
12月期の主な書類送検事案
■ショベルカーと法面の間に挟まれ、70代労働者死亡
12月12日、長崎労働局・諫早労働基準監督署が、建設会社と現場の責任者だった同社の社員を書類送検しました。農地の復旧作業中、パワーショベルのバケットから生コンクリートを型枠内に流し込む作業を行なっていた70代の作業員が、パワーショベルのバケットと畑の法面の間に挟まれ、死亡しました。同社は、運転中のパワーショベルと接触する危険性のある場所で、誘導者をおかずに、作業員に作業をさせていたとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第158条に違反した疑いによります。
労働安全衛生規則第158条には、次のように定められています。
事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、運転中の車両系建設機械に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に、労働者を立ち入らせてはならない。ただし、誘導者を配置し、その者に当該車両系建設機械を誘導させるときは、この限りでない。
2 前項の車両系建設機械の運転者は、同項ただし書の誘導者が行なう誘導に従わなければならない。
労働安全衛生規則第158条(接触の防止)
■フォークリフト作業中、荷の下敷きになり労働者死亡
12月26日、大阪労働局・西野田労働基準監督署は、建築設備工業会社と同社代表取締役を書類送検しました。建設工事現場において、フォークリフトの近くにいた作業員1名が荷の下敷きになり死亡しました。同社は、作業計画をあらかじめ定めることなく、労働者にフォークリフトを使用させ荷の運搬作業を⾏わせていたとして、労働安全衛生法20条、労働安全衛生法27条、労働安全衛生規則151条の3に違反した疑いによります。
労働安全衛生規則151条の3には次のように定められています。
事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業(不整地運搬車又は貨物自動車を用いて行う道路上の走行の作業を除く。以下第百五十一条の七までにおいて同じ。)を行うときは、あらかじめ、当該作業に係る場所の広さ及び地形、当該車両系荷役運搬機械等の種類及び能力、荷の種類及び形状等に適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならない。
2 前項の作業計画は、当該車両系荷役運搬機械等の運行経路及び当該車両系荷役運搬機械等による作業の方法が示されているものでなければならない。
3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項の規定により示される事項について関係労働者に周知させなければならない。
労働安全衛生規則151条の3(作業計画)