建設業の技能実習生の労災事故について損害賠償を得て解決しました

外国人技能実習生が働く場所においても労災事故は多く発生しています。

以下では、労災ユニオンで解決をした技能実習生の労災事件についてご紹介します。

経緯

被災者は、フィリピンからの技能実習生です。

技能実習の職種は建設業の「とび」でしたが、雇用された会社ではコロナによる不況でとびの仕事がなく、解体現場での作業に従事していました。そして2021年4月頃から、実習が計画通りにできないことを理由に、会社と監理団体はAさんに帰国を促していました。

そうした中で2021年6月、解体現場での作業中に、他の労働者がバックホーを運転してがれきを移動させていた際に、コンクリート片が落下して、近くにいたAさんの右足を直撃して、右足中指に開放性脱臼の大けがを負ってしまいました。

Aさんは休業しながら日本に滞在をして通院治療をしていましたが、会社は8月中旬でAさんを退職扱いにし、監理団体はAさんの帰国日を決めて帰りの飛行機も予約し、Aさんに帰国するよう迫りました。

Aさんのケガは治っておらず、また、借金をして来日しているため、その時点で帰国するという選択肢はあり得ませんでした。

困ったAさんは、知人の紹介で私たちユニオンにたどり着き、組合加入して、会社と交渉をすることにしました。

ユニオンの交渉と労災申請サポート

ユニオンは、会社と監理団体に申入れをし、Aさんを帰国させずに治療と休業を継続できるようにすることと、労災事故についての損害賠償を求めました。

また、Aさんの治療費は労災適用されていましたが、休業補償給付については手続きがされていなかったため、労働基準監督署への休業補償給付の申請手続きもユニオンがサポートしました。

Aさんの労災事故発生においては、以下の労働安全衛生法令の違反が見られました。

①労働安全衛生規則 第171条の6

 解体用機械を用いて作業を行う時は、危険が生ずるおそれがある場所へ立ち入りできないようにしなければなりませんが、そのような措置は取られていませんでした。

②労働安全衛生規則 第558条

作業にあたり、労働者に安全靴を使用させなければなりませんでしたが、会社側はそれを怠っていました。

こうした会社側の安全配慮義務違反について団体交渉で問題追及した結果、会社がAさんに対して損害賠償を支払うことになり、無事和解に至りました。

以上のように、労災ユニオンでは労災申請から会社との交渉まで、問題解決に向けた取り組みやサポートをしています。

労災に関してお困りの方は、まずはユニオンへご相談ください。

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