労災問題Q&A(5)何が労働時間の証拠になりますか?

Q どのようなものが労災申請に使う労働時間の証拠になりますか?
A タイムカード以外にも様々なものが証拠に使えます。過労死などで就労環境がすぐにわからない場合でもあきらめないでください。

 精神疾患と脳・心臓疾患の労災認定は、業務上のストレスの有無が調査の対象になります。その際、最も重視されるのは長時間労働です。長時間労働の事実は客観的でその程度も数値化できるからです。
 しかし、労働時間の証拠が手元にない場合やそもそもタイムカードが存在しない場合なども多いと思います。それでも決してあきらめないでください。タイムカードなど会社側の記録以外にも次のようなものが労働時間の記録として使えます。

・スケジュール帳の記録
・日記
・仕事に使用していたパソコンのログデータ
・出張の記録
・領収書やクレジットカードの記録
・職場の警備保障会社の記録(セコムなど)
・職場の守衛の記録
・取引先の伝票
・電話通話記録(電話会社から取り寄せられます)
・メール送信履歴
・メッセンジャーやラインなどのSNSの履歴
・スイカやイコカなど交通マネーの記録

など

もちろん次のような会社の記録も有効です。
・タイムカード
・タコメーター
・日報
・会議録
・研修記録
・金庫への入庫記録
・掃除当番の記録
・荷物の受け取り伝票
など

さらに、同僚の証言なども使える場合があります。ただし会社は労災申請を妨害してくる場合がありますので、証言集めはごく慎重に進める必要があります。

〇証拠を集める手順
・専門家にすぐに相談し、手元にある証拠から
 証拠にはさまざまな種類が考えられますが、やはり証拠集めの経験がある人のサポートを得るのが先決です。証拠は時が経つにほどなくなってしまいますから、労災事故発生からできるだけ早く私たちのような専門家にご相談ください。

 そのうえで集めるべき証拠は、上記のうち、手元にあるものです。手帳、スマートフォン、PC、スイカ、クレジットカードなどは本人の近くにありますから、何があるか確認していきましょう。

・会社にある証拠の収集は、ユニオンの活用が一番確実です
 セコムの記録やタイムカードなどは、真っすぐ会社にお願いしても、出してもらえない場合が多いです。労災認定を受けた場合、会社は被災者やその遺族から多額の損害賠償を請求されるリスクを回避しようと思うからです。
 ここで力を発揮するのが私たちユニオン(労働組合)です。ユニオンには団体交渉権があり、会社は交渉に誠実に応じる義務を有しています。また、ユニオンには争議権もあります。会社が証拠隠滅を図ったり、あるはずの証拠を出さない場合、ユニオンを社会的にその会社の法律違反を批判することができます。ですので、会社は簡単にユニオンを無視できず、出せる資料はすぐに提供する場合がほとんどです。

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