労災問題Q&A(6)健康保険で治療を受けた後は、労災保険は使えませんか?

Q. 健康保険で治療を受けた後は、労災保険は使えませんか?
A. 健康保険で治療を受けていても、後から労災申請をして、労災保険に切り替えることは可能です。

仕事によるケガや病気の治療を受ける際は、健康保険ではなく労災保険を使うことが法律で定められています。
ですが、様々な状況により、健康保険を使って治療を受け、後から労災保険に切り替えたいということがあり得ます。

例えば、、、

・職場の長時間労働やハラスメントによって脳・心臓疾患や精神疾患を発症したが、労災になると思っていなかったため、健康保険を使って病院を受診した。

・仕事中の事故でケガを負ったが、会社から「休み中にケガをしたことにしろ」と言われて、労災保険ではなく健康保険を使わされた。

このように、当初、健康保険を使った場合でも、後から労災申請をして労災保険に変更することは可能です。

方法としては、

①医療費を一時的に全額自己負担で払い(健康保険へ医療費7割分を返納する)、労災申請をする

または

②労災申請をして、労働基準監督署の調査を経て労災認定がされた後に、健康保険から払われた医療費を返還する

となります。

一時的に医療費を全額負担するのは場合によっては高額になるため、②の方法を取ることで労働者側の経済的負担を軽減することができます。

特に、脳・心臓疾患や精神疾患の労災認定については、労災申請の準備や労災申請をしてから認定が下りるまでにかなりの期間がかかり(おおむね半年~1年)、また、認定基準が厳しく実際に認定されるかどうかは不確定にならざるを得ません。

労災認定が下りるまでは健康保険を使って治療を受けて、仕事を休業している間は健康保険の傷病手当金を受けることで、生計を成り立たせながら労災の結果を待つことができます。

労働基準監督署、加入する健康保険組合または協会けんぽに対しては、労災認定が下りて労災保険の給付が確定した後で、医療費および傷病手当金の精算をしたい旨を伝えておきましょう。

【参考】厚生労働省 労災保険に関するQ&A「健康保険証を使って受診してしまいました。どうしたらよいでしょうか。」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000154463.html

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