2021年5月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案
5月期に認定された死者数64人、死傷者数1万1657人
6月21日、厚労省が6月集計分の労働災害発生状況を公表し、5月8日~6月7日(以下「5月期」)までの1ヶ月で、2021年1月以降5月末の労災事故について、新たに死者数64人、死傷者数1万1657人が明らかになりました。
累計で2021年の労災死者数は現在247人となっており、前年の同時期の267人よりは7.5%減少しています。
一方で死傷者数は4万8046人と、前年同時期の3万6989人より1万1057人、29.9%増加しています。うち7074人は主に感染症による労災ですが、それを省いても3983人程度増加しています。
5月期の主な書類送検事案
■立ち入り禁止措置を行わず、コンクリートミキサー車に轢かれて死亡
5月20日、静岡労働局・沼津労働基準監督署が、生コンクリート製造会社ほか1名を労働安全衛生法違反で書類送検しました。同社の敷地内の洗車場において、労働者が側溝を清掃していたところ、コンクリートミキサー車に轢かれて死亡しました。ミキサー車に接触する恐れがあったのにもかかわらず、立ち入りを禁止する措置を講じず、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第151条の7(接触の防止)などに違反した疑いです。
労働安全衛生規則第151条の7(接触の防止)には、次のように定められています。
事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、運転中の車両系荷役運搬機械等又はその荷に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。ただし、誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を誘導させるときは、この限りでない。
労働安全衛生規則第151条の7(接触の防止)
2 前項の車両系荷役運搬機械等の運転者は、同項ただし書の誘導者が行う誘導に従わなければならない
■フォークリフトのパレットの上に乗せた労働者が転落して死亡
5月25日、三重労働局・四日市労働基準監督署が、製袋会社ほか1名を労働安全衛生法違反で書類送検しました。同社の工場内でテント倉庫のカバーを直す作業の際、フォークリフトの爪に木製パレットを載せ、その上に乗せられて作業をしていた労働者が地上約3メートルから転落して死亡しました。フォークリフトを用途外に使用し、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第151条の14(主たる用途以外の使用の制限)などに違反した疑いです。
労働安全衛生規則第151条の14(主たる用途以外の使用の制限)には、次のように定められています。
事業者は、車両系荷役運搬機械等を荷のつり上げ、労働者の昇降等当該車両系荷役運搬機械等の主たる用途以外の用途に使用してはならない。ただし、労働者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない。
労働安全衛生規則第151条の14(主たる用途以外の使用の制限)