2021年6月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

6月期に認定された死者数76人、死傷者数1万2453人

 7月16日、厚労省が6月集計分の労働災害発生状況を公表し、6月8日~7月7日(以下「6月期」)までの1ヶ月で、2021年1月以降6月末までの労災事故について、新たに死者数76人、死傷者数1万2453人が明らかになりました。
 累計で2021年の労災死者数は現在323人となっており、前年の同時期の317人より1.9%増加しています。
 一方で死傷者数は6万499人と、前年同時期の4万7475人より1万3024人、27.4%増加しています。うち9143人は主に感染症による労災ですが、それを省いても3881人程度増加しています。

6月期の主な書類送検事案

■スレート屋根を踏み抜いて墜落し死亡

 6月17日、岩手労働局・宮古労働基準監督署が、板金工事会社ほか1名を労働安全衛生法違反で書類送検しました。屋根改修工事現場で、労働者がスレート材の屋根の上でネットを敷設する作業をしていたところ、スレートを踏み抜いて墜落して死亡しました。歩み板を設けるなど、スレート屋根上で作業を行わせる際に、踏み抜きによる危険防止措置を講じておらず、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第524条(スレート等の屋根上の危険の防止)などに違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第524条(スレート等の屋根上の危険の防止)には、次のように定められています。

事業者は、スレート、木毛板等の材料でふかれた屋根の上で作業を行なう場合において、踏み抜きにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、幅が三十センチメートル以上の歩み板を設け、防網を張る等踏み抜きによる労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則第524条(スレート等の屋根上の危険の防止)


■ダイカストマシンに挟まれて死亡

 6月23日、三重労働局・伊勢労働基準監督署が、金属製品製造会社ほか1名を労働安全衛生法違反で書類送検しました。同社の製造所において、労働者が住宅用のアルミ製品を製造中、ダイカストマシンに挟まれて死亡しました。機械に戸、両手操作式による起動装置などの安全装置を設置しておらず、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第147条(射出成形機等による危険の防止)などに違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第147条(射出成形機等による危険の防止)には、次のように定められています。

事業者は、射出成形機、鋳型造形機、型打ち機等(第百三十条の九及び本章第四節の機械を除く。)に労働者が身体の一部を挟まれるおそれのあるときは、戸、両手操作式による起動装置その他の安全装置を設けなければならない。

2  前項の戸は、閉じなければ機械が作動しない構造のものでなければならない。

労働安全衛生規則第147条(射出成形機等による危険の防止)

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