持ち帰り残業を労働時間と認めて労災認定するよう求めるChange署名にご協力ください。

 200時間を超える持ち帰り残業の末、精神疾患を発症した株式会社アドバンテストの30代の半導体技術者のAさんが11月29日、国を相手取り労災認定を求める裁判を提起しました。

 Aさんは光超音波顕微鏡という皮膚の組織をみるための機器の開発委託に従事していました。2017年秋頃から長時間労働がひどくなり、Aさんは月に200時間に及ぶ持ち帰り残業を行っていました。持ち帰り残業になったのは会社では毎月9時間以上の残業を厳しく制限していたからです。長時間の持ち帰り残業とパワーハラスメントなどが原因で、Aさんは2018年1月に精神疾患を発症し、10か月間の休職を余儀なくされてしまいました。

 2018年5月、Aさんは精神疾患は労災であるとして行田労働基準監督署に労災申請をおこないましたが、労災は不認定となりました。

 Aさんの持ち帰り残業は労災認定基準を優に超えるほどに長いものでしたが、行田労働基準監督署は、その持ち帰りの業務時間に関して労働時間と一切を認定しなかったのです。Aさんは監督署の判断は不服として、審査請求、再審査請求を行いましたが、労基署の決定は覆りませんでした。

 長時間労働は大きな心理的ストレスをもたらすものであり、精神疾患の労災認定基準でも最も重要視される要素の一つです。ところが、持ち帰り残業について国は、極めて厳しい基準で判断しており、会社が労働者に明確な形で自宅に持ち帰って労働するよう指示していたり、自宅でやっていた労働の成果物がなかったりする場合には、心理的ストレスのある労働時間として認定しないのです。Aさんの場合は、持ち帰りで作った膨大な業務資料がありましたが、業務指示が明確でないことが主な理由で持ち帰り時間が労働時間として認められませんでした。

 持ち帰り残業の多くは、会社で残業することを禁止された労働者が何とか業務をこなそうとして発生します。自ら望んで持ち帰りをする人はすくないでしょう。ましてや精神疾患を発症するような膨大な量の持ち帰りなら尚更です。持ち帰り残業の時間も労働者が心理的ストレスを与えていることは間違いありません。

 労災不認定の背景には、労災認定の労働時間を、労働基準法に合わせて厳しくした結果、持ち帰りなどの労働時間が認定されづらくなっている背景があります。私たちは国に対し、Aさんの労災を認定することと、労災認定基準の運用の変更を求めています。

・Changeの署名を集めています。ぜひご協力ください。
https://chng.it/S7yJCL2vRB

 
・くわしい論点については、NPO法人POSSEの今野さんのヤフー記事をお読みください。
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20221130-00326203

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