2022年10月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

10月期に認定された死者数69人、死傷者数2万9713人

 11月16日、厚労省が10月集計分の労働災害発生状況を公表し、10月8日~11月7日(以下「10月期」)までの1ヶ月で、2022年1月以降10月末までの労災事故について、新たに死者数69人、死傷者数2万9713人が明らかになりました。

 累計で2022年の労災死者数は現在589人となっており、前年の同時期の613人より3.9%減少しています。

 一方で死傷者数は18万3298人と、前年同時期の11万910人より7万2388人、65.3%増加しています。うち主に感染症による労災は、今年度10月期は8万8083人、前年度同時期は1万6489人ですが、それを省くと794人程度増加しています。

10月期の主な書類送検事案

■派遣労働者が首を挟まれて死亡

 10月18日、茨城労働局・古河労働基準監督署が、自動車部品製造会社と同社の課長を書類送検しました。派遣労働者が、同社の工場内で荷物用昇降機の調整作業中、機械とはりの間に首を挟まれて7日後に死亡しました。機械の運転を停止しなかったとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第107条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第107条には、次のように定められています。

 事業者は、機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りでない。

2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠を掛け、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則第107条(掃除等の場合の運転停止等)

■労働者が骨折で4日以上休業したにもかかわらず、労災かくし

 10月18日、福島労働局・いわき労働基準監督署が、建設会社と同社の代表取締役を書類送検しました。資材置き場において、労働者が車両積載形トラッククレーンを使用してコンクリートブロックを荷台に載せる作業をしていた際、つり上げた2つのコンクリートブロックの間に左手の指をはさまれて骨折し、4日以上の休業を要する労働災害が発生しました。それにもかかわらず、労働者死傷病報告書を労働基準監督署に提出しなかったとして、労働安全衛生法第100条、労働安全衛生規則第97条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第97条には、次のように定められています。

 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、様式第二十三号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

2 前項の場合において、休業の日数が四日に満たないときは、事業者は、同項の規定にかかわらず、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間における当該事実について、様式第二十四号による報告書をそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

労働安全衛生規則第97条(労働者死傷病報告)

■労働者が転落して右肩を脱臼するも、労基へ虚偽報告

 11月2日、宮崎労働局・延岡労働基準監督署が、建築設備工事会社と同社の社長、建築工事会社と同社の社長を書類送検しました。建築設備工事会社の労働者が、公共工事現場で高さ1.2メートルの段差から転落して右肩を脱臼し、4日以上の休業を要する労働災害が発生しました。それにもかかわらず、両社長は共謀して、同社の資材置き場で高さ40センチの踏み台から転倒して負傷したとして、労働基準監督署に虚偽の報告をしたとして、労働安全衛生第法100条、労働安全衛生規則第97条に違反した疑いによります。

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