2022年9月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

9月期に認定された死者数58人、死傷者数3万1387人

 10月20日、厚労省が9月集計分の労働災害発生状況を公表し、9月8日~10月7日(以下「9月期」)までの1ヶ月で、2022年1月以降9月末までの労災事故について、新たに死者数58人、死傷者数3万1387人が明らかになりました。

 累計で2022年の労災死者数は現在520人となっており、前年の同時期の541人より3.9%減少しています。

 一方で死傷者数は15万3585人と、前年同時期の9万7913人より5万5672人、56.9%増加しています。うち主に感染症による労災は、今年度9月期は6万9467人、前年度同時期は1万4477人ですが、それを省くと682人程度増加しています。

9月期の主な書類送検事案

■フォークリフトに轢かれて左足を切断

 9月1日、静岡労働局・富士労働基準監督署が、紙製造会社と同社の取締役を書類送検しました。同社の工場内で、フォークリフトで原紙ロールを運搬する際に、徒歩で移動中だった70代の労働者がフォークリフトのタイヤに轢かれて左足を切断しました。フォークリフトに接触する可能性がある場所に労働者を立ち入らせたとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第151条の7に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第151条の7には、次のように定められています。

 事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときは、運転中の車両系荷役運搬機械等又はその荷に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に労働者を立ち入らせてはならない。ただし、誘導者を配置し、その者に当該車両系荷役運搬機械等を誘導させるときは、この限りでない。

2 前項の車両系荷役運搬機械等の運転者は、同項ただし書の誘導者が行う誘導に従わなければならない。

労働安全衛生規則第151条の7(接触の防止)

■伐採した木と立ち木の間に挟まれて死亡

 9月9日、長野労働局・伊那労働基準監督署が、建設会社と同社の現場責任者、森林組合と同組合の現場監督を書類送検しました。送電線設置区域内で支障木を伐採する作業中に、現場責任者であった労働者が、伐採した木と立ち木の間に挟まれて死亡しました。伐採する木の近くへの労働者の立ち入りを禁止しなかったとして、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第481条違反の疑いによります。

 労働安全衛生規則第481条には、次のように定められています。

 事業者は、造林、伐木、かかり木の処理、造材又は木寄せの作業(車両系木材伐出機械による作業を除く。以下この章において「造林等の作業」という。)を行っている場所の下方で、伐倒木、玉切材、枯損木等の木材が転落し、又は滑ることによる危険を生ずるおそれのあるところには、労働者を立ち入らせてはならない。

2 事業者は、伐木の作業を行う場合は、伐倒木等が激突することによる危険を防止するため、伐倒しようとする立木を中心として、当該立木の高さの二倍に相当する距離を半径とする円形の内側には、他の労働者を立ち入らせてはならない。

3 事業者は、かかり木の処理の作業を行う場合は、かかり木が激突することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるところには、当該かかり木の処理の作業に従事する労働者以外の労働者を立ち入らせてはならない。

労働安全衛生規則第481条(立入禁止)

■プレス機械に挟まれて手を負傷

 9月29日、大阪労働局・堺労働基準監督署が、金属製品製造会社と同社の代表取締役を書類送検しました。動力プレス機械で金属加工の作業をしていた際に、労働者がプレス機械に手を挟まれて負傷しました。プレス機械作業主任者にプレス機械の操作切り替えキーを保管させず、キーを挿したままプレス機械を使用させたとして、労働安全衛生法第14条、労働安全衛生規則第134条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第134条には、次のように定められています。

 事業者は、プレス機械作業主任者に、次の事項を行なわせなければならない。

一 プレス機械及びその安全装置を点検すること。

二 プレス機械及びその安全装置に異常を認めたときは、直ちに必要な措置をとること。

三 プレス機械及びその安全装置に切替えキースイツチを設けたときは、当該キーを保管すること。

四 金型の取付け、取りはずし及び調整の作業を直接指揮すること。

労働安全衛生規則第134条(プレス機械作業主任者の職務)

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