2021年8月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

8月期に認定された死者数68人、死傷者数1万2208人

 9月17日、厚労省が8月集計分の労働災害発生状況を公表し、8月11日~9月7日(以下「8月期」)までの1ヶ月で、2021年1月以降8月末までの労災事故について、新たに死者数68人、死傷者数1万2208人が明らかになりました。

 累計で2021年の労災死者数は現在465人となっており、前年の同時期の442人より5.2%増加しています。

 一方で死傷者数は8万4713人と、前年同時期の6万8870人より1万5843人、23.0%増加しています。うち1万2175人は主に感染症による労災ですが、それを省いても3668人程度増加しています。

7月期の主な書類送検事案

■荷崩れしたバッグの下敷きいになって死亡

 8月2日、茨城労働局・筑西労働基準監督署が、協同組合ほか1名を書類送検しました。高さ4メートルほど積まれた、穀物の入ったビニール製コンテナバッグをフォークリフトを使って移動させていた際、バッグが崩れてしまい、派遣労働者が下敷きとなって亡くなりました。高さ4メートルの積荷(はい)について、ロープで縛り、網を張るなど崩壊防止措置を講じておらず、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第432条に違反した疑いによります。

労働安全衛生規則第432条(はいの崩壊等の危険の防止)には、次のように定められています。

 事業者は、はいの崩壊又は荷の落下により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、当該はいについて、ロープで縛り、網を張り、くい止めを施し、はい替えを行なう等当該危険を防止するための措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則第432条(はいの崩壊等の危険の防止)

■鋼材に挟まれ右足切断の重傷

 8月19日、栃木労働局・宇都宮労働基準監督署が、塗装工事会社ほか1名を書類送検しました。倒れたH鋼材に挟まれた労働者が、右足を切断する重傷を負いました。法定の資格を持たない労働者に、重さ約1トンのH鋼材をクレーンのフックに掛ける玉掛けの作業をさせ、労働安全衛生法第61条、労働安全衛生法施行令第20条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生法第61条(就業制限)、労働安全衛生法施行令第20条(就業制限に係る業務)には、次のように定められています。

 事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。

2 前項の規定により当該業務につくことができる者以外の者は、当該業務を行なつてはならない。

労働安全衛生法第61条(就業制限)

 法第六十一条第一項の政令で定める業務は、次のとおりとする。

十六 制限荷重が一トン以上の揚貨装置又はつり上げ荷重が一トン以上のクレーン、移動式クレーン若しくはデリックの玉掛けの業務

労働安全衛生法施行令第20条(就業制限に係る業務)

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