2021年7月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

7月期に認定された死者数74人、死傷者数1万2006人

 8月24日、厚労省が7月集計分の労働災害発生状況を公表し、7月8日~8月10日(以下「7月期」)までの1ヶ月で、2021年1月以降7月末までの労災事故について、新たに死者数74人、死傷者数1万2006人が明らかになりました。

 累計で2021年の労災死者数は現在397人となっており、前年の同時期の378人より5.0%増加しています。

 一方で死傷者数は7万2505人と、前年同時期の5万8488人より1万4017人、24.0%増加しています。うち1万458人は主に感染症による労災ですが、それを省いても3559人程度増加しています。

7月期の主な書類送検事案

■ベルトコンベヤーに左腕を挟まれて重傷

 7月14日、千葉労働局・船橋労働基準監督署が、建設廃材リサイクル会社ほか1名を書類送検しました。工場でベルトコンベヤーのメンテナンス作業中、労働者がローラーとベルトに付着した泥をハンマーで剥がしていたところ、左腕を挟まれて重傷を負いました。コンベヤーの清掃作業を行わせるにあたり、非常停止装置を設置しておらず、労働安全衛生法20条、労働安全衛生規則151条の78に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第151条の78(非常停止装置)には、次のように定められています。

 事業者は、コンベヤーについては、労働者の身体の一部が巻き込まれる等労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、非常の場合に直ちにコンベヤーの運転を停止することができる装置(第百五十一条の八十二において「非常停止装置」という。)を備えなければならない。

労働安全衛生規則第151条の78(非常停止装置)

■モルタルを混ぜるプロペラに右腕を巻き込まれ重傷

 7月20日、千葉労働局・木更津労働基準監督署が、建設会社と同社の代表を書類送検しました。道路工事現場において、機械に詰まったモルタルの除去作業中、機械を作動されてしまい、モルタルを混ぜる金属プロペラに労働者が右腕を巻き込まれ重傷を負いました。機械の運転を停止して調整作業を行わせるにあたり、起動装置に錠を掛けたり、表示板を取り付けたりなどの作業に従事する労働者以外の者による機械の運転を防止する措置を講じず、労働安全衛生法20条、労働安全衛生規則第107条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第107条(掃除等の場合の運転停止等)には、次のように定められています。

 事業者は、機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りではない。

2  事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠を掛け、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則第107条(掃除等の場合の運転停止等)

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