労災問題Q&A(3)個人事業主だから労災申請はできないといわれた

Q.仕事でケガをしたのですが、個人事業主扱いだから労災申請はできないといわれました。どうしたらよいでしょうか。

A.個人事業主扱いになっていても実際は労働者で労災保険が使えることが多いです。また、適法な個人事業主でも特別加入制度の適用を受け労災保険に加入できる場合があります。


労働者なのに個人事業主扱いになっていないか?

 書面の上では個人事業主扱いで働いていても、実態は労働者である場合が多くあります。使用者は労働者を雇った場合、労働法を守らなければなりません。そこで労働者であるのに、個人事業主扱いをし、法律の適用を免れようとするのです。

 労働者であるか否かは、書面上の規定ではなく、働き方の実態で判断されます。実態が労働者であれば、労災保険も使えます。

労働者と個人事業主の見分け方


 労働者と個人事業主を見分けるには、賃金の支払われ方、業務指示の有無の二つが重要です。

 労働基準法第9条は、労働者を「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義しています。

 ここでキーワードは、「使用される」です。「使用される」とは、指揮命令下に入ると理解してよいでしょう。
 就業場所はどこなのか、出勤時間はいつなのか、どうやって仕事をするのかなど、様々なことについて、指揮命令を受けて働いているのは労働者です。
 また、労働の対価としての賃金が時給・日給・月給など時間給で支払われるのも労働者の特徴です。

 個人事業主は仕事の完成に対して、報酬が支払われます。例えば、家を一軒建てる、会社設立の文書を完成させるなど、です。仕事の時間、場所、方法などについて誰の指示もうけず、自分で決定します。

〇労働者であった場合、どうしたらよいか
 あなたが労働者であった場合、労災保険は強制加入です。労災事故があった場合、事業者が何と言おうと、労働者には労災保険を使う権利がありますので、迷わず労働基準監督署に労災申請をしましょう。労働基準監督署は、労災保険未加入の指導を行い、あなたにの事故を労災認定してくれます。

 法律通りの権利を行使したことによる会社からの報復の恐れがある場合は、労災ユニオンに加入して、改善を求めるのことをお勧めします。労働組合には団体交渉権があり、会社は組合を無視できません。また団体行動権がありますので、会社の違法な嫌がらせがあった場合、直接会社に行って嫌がらせを止めたり、抗議活動を行ったりもできますので、強く迫ることができます。

個人事業主でも特別加入制度があります

 労働者でない場合でも、業務実態などが労災保険の保護をすることに望ましいとされた業種で働いている事業主には、労災保険の特別加入制度があり、労災保険に加入することができます。ただし、保険料は自分で支払わなければなりません(保険料は高くない)。

 特別加入制度の対象となるのは、一定の中小企業事業等、請負運転手や建設現場の親方など「一人親方」、農業従事者・アニメ制作作業者・ウーバーの配達員など「特定作業従事者」となってます。

 詳しくはこちらをご覧ください。

「労災保険の特別加入制度」(全国労働保険事務組合連合会HP)
https://www.rouhoren.or.jp/what/special.html

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