2025年10月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案
10月期に認定された死者数49人、死傷者数1万2229人
11月26日、厚労省が10月集計分の労働災害発生状況を公表し、10月8日~11月7日(以下「10月期」)までの1ヶ月で、2025年1月以降10月末までの労災事故について、新たに死者数49人、死傷者数1万2229人が明らかになりました。
累計で2025年の労災死者数は現在524人となっており、前年の同時期の570人より46人、8.1%減少しています。
一方で死傷者数は9万9636人と、前年同時期の10万676人より1040人、1.0%減少しています。
10月期の主な書類送検事案
◾️20代の労働者が感電死
10月20日、広島労働局・広島中央労働基準監督署が、元請けの建設会社と下請けの建設会社を書類送検しました。ビルの解体工事にて、20代の労働者が足場上で足場板を番線で緊結する作業を行っていたところ、足場に近接する高圧電線によって感電死しました。架空電路に近接した足場を設けるにもかかわらず、絶縁用防具を装着するなど架空電路との接触防止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第31条、労働安全衛生規則第655条に違反した疑いによります。
労働安全衛生規則第655条には、次のように定められています。
注文者は、法第三十一条第一項の場合において、請負人の労働者に、足場を使用させるときは、当該足場について、次の措置を講じなければならない。
一 構造及び材料に応じて、作業床の最大積載荷重を定め、かつ、これを足場の見やすい場所に表示すること。
二 強風、大雨、大雪等の悪天候若しくは中震以上の地震又は足場の組立て、一部解体若しくは変更の後においては、点検者を指名して、足場における作業を開始する前に、次の事項について点検させ、危険のおそれがあるときは、速やかに修理すること。
イ 床材の損傷、取付け及び掛渡しの状態
ロ 建地、布、腕木等の緊結部、接続部及び取付部の緩みの状態
ハ 緊結材及び緊結金具の損傷及び腐食の状態
ニ 足場用墜落防止設備の取り外し及び脱落の有無
ホ 幅木等の取付状態及び取り外しの有無
ヘ 脚部の沈下及び滑動の状態
ト 筋かい、控え、壁つなぎ等の補強材の取付けの状態
チ 建地、布及び腕木の損傷の有無
リ 突りようとつり索との取付部の状態及びつり装置の歯止めの機能
三 前二号に定めるもののほか、法第四十二条の規定に基づき厚生労働大臣が定める規格及び第二編第十章第二節(第五百五十九条から第五百六十一条まで、第五百六十二条第二項、第五百六十三条、第五百六十九条から第五百七十二条まで及び第五百七十四条に限る。)に規定する足場の基準に適合するものとすること。
2 注文者は、前項第二号の点検を行つたときは、次の事項を記録し、足場を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間、これを保存しなければならない。
一 当該点検の結果及び点検者の氏名
二 前号の結果に基づいて修理等の措置を講じた場合にあつては、当該措置の内容
労働安全衛生規則第655条(足場についての措置)
◾️70代の労働者が墜落死
10月22日、佐賀労働局・佐賀労働基準監督署が、警備会社を書類送検しました。70代の労働者がドラグ・ショベルのバケットの内側に乗って、立木の枝をチェーンソーを用いて伐採していた際に、枝を伐採した直後に約8メートル下の用水路に墜落死しました。ドラグ・ショベルの主たる用途以外の用途に使用したとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第164条に違反した疑いによります。
労働安全衛生法第20条には、次のように定められています。
事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 機械、器具その他の設備(以下「機械等」という。)による危険
二 爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険
三 電気、熱その他のエネルギーによる危険
労働安全衛生法第20条(事業者の講ずべき措置等)

