2025年7月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

7月期に認定された死者数77人、死傷者数1万2058人

 8月26日、厚労省が7月集計分の労働災害発生状況を公表し、7月8日~8月7日(以下「7月期」)までの1ヶ月で、2025年1月以降7月末までの労災事故について、新たに死者数77人、死傷者数1万2058人が明らかになりました。

 累計で2025年の労災死者数は現在363人となっており、前年の同時期の366人より0.8%減少しています。

 一方で死傷者数は6万4612人と、前年同時期の6万5548人より936人、1.4%減少しています。

7月期の主な書類送検事案

◾️請負会社の労働者が墜落で頸部・ 左肩・肋骨の骨折、脳内出血

 7月7日、大阪労働局・大阪中央労働基準監督署が、解体工事会社と同社の現場責任者を書類送検しました。解体工事現場で、請負会社の労働者が、深さ2.5メートルの開口部から墜落し、頸部・ 左肩・肋骨の骨折、脳内出血、全治3か月の重傷を負いました。高さ5メートル以上のコンクリート造の工作物を解体する作業にもかかわらず、あらかじめ当該工作物の形状、き裂の有無、周囲の状況等を調査し、適応する作業計画を定めなかったとして、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第517条の14に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第517条の14には、次のように定められています。

 事業者は、令第六条第十五号の五の作業を行うときは、工作物の倒壊、物体の飛来又は落下等による労働者の危険を防止するため、あらかじめ、当該工作物の形状、き裂の有無、周囲の状況等を調査し、当該調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならない。

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。

一 作業の方法及び順序

二 使用する機械等の種類及び能力

三 控えの設置、立入禁止区域の設定その他の外壁、柱、はり等の倒壊又は落下による労働者の危険を防止するための方法

3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項第一号及び第三号の事項について関係労働者に周知させなければならない。

労働安全衛生規則第517条の14(調査及び作業計画)

◾️丸のこ盤の歯に接触して前腕を切断

 7月10日、大阪労働局・岸和田労働基準監督署が、輸送用機械器具製造会社と同社の代表取締役を書類送検しました。労働者が丸のこ盤で、アルミ製筒状材料の切断作業をしていたところ、片方の前腕が回転する歯に接触して切断しました。丸のこ盤の歯の接触予防装置を設けなかったとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第115条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第115条には、次のように定められています。

  事業者は、丸のこ盤(木材加工用丸のこ盤を除く。)には、歯の接触予防装置を設けなければならない。

労働安全衛生規則第115条(丸のこ盤の歯の接触予防装置)

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