2025年5月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

5月期に認定された死者数60人、死傷者数10662人

 8月26日、厚労省が5月集計分の労働災害発生状況を公表し、5月8日~6月9日(以下「5月期」)までの1ヶ月で、2025年1月以降5月末までの労災事故について、新たに死者数60人、死傷者数10662人が明らかになりました。

 累計で2025年の労災死者数は現在241人となっており、前年の同時期の234人より3.0%増加しています。

 一方で死傷者数は4万1962人と、前年同時期の4万2703人より741人、1.7%減少しています。

5月期の主な書類送検事案

◾️20代の労働者がつり足場の解体作業中に墜落死

 5月13日、大阪労働局・西野田労働基準監督署が、足場組立・解体会社と同社の代表取締役を書類送検しました。塗装工事現場で、つり足場の解体作業をしていた20代の労働者が約4メートル下の川に墜落して死亡しました。足場の組立て等作業主任者が墜落制止用器具と保護帽の使用状況を監視する職務を行わなかったとして、労働安全衛生法第14条、労働安全衛生規則第566条に違反した疑いによります。 

 労働安全衛生規則第566条には、次のように定められています。

 事業者は、足場の組立て等作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。ただし、解体の作業のときは、第一号の規定は、適用しない。

一 材料の欠点の有無を点検し、不良品を取り除くこと。

二 器具、工具、要求性能墜落制止用器具及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。

三 作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業の進行状況を監視すること。

四 要求性能墜落制止用器具及び保護帽の使用状況を監視すること。

労働安全衛生規則第566条(足場の組立て等作業主任者の職務)

◾️外国籍の労働者がドラグ・ショベルの下敷きになり死亡

 6月9日、茨城労働局・土浦労働基準監督署が、養豚場経営者を書類送検しました。養豚場の敷地内において、小型ドラグ・ショベルのバケットに取り付けたワイヤロープを立木に巻き付けて伐採作業をしていた外国籍の飼育員が、チェーンソーで立木を切断したところ、弾みで斜面から横転したドラグ・ショベルの下敷きとなって死亡しました。必要な特別教育を受けていない労働者に3トン未満のドラグ・ショベルを運転させたとして、労働安全衛生法第59条、労働安全衛生規則第36条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生法第59条には、次のように定められています。

 事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。

2 前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。

3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。

労働安全衛生法第59条(安全衛生教育)

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