2024年11月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案
11月期に認定された死者数61人、死傷者数1万2517人
12月23日、厚労省が11月集計分の労働災害発生状況を公表し、11月8日~12月9日(以下「11月期」)までの1ヶ月で、2024年1月以降11月末までの労災事故について、新たに死者数61人、死傷者数1万2517人が明らかになりました。
累計で2024年の労災死者数は現在631人となっており、前年の同時期の609人より3.6%増加しています。
一方で死傷者数は11万3193人と、前年同時期の11万780人より2413人、2.2%増加しています。
11月期の主な書類送検事案
◾️20代の労働者が腕を巻き込まれて死亡
11月15日、茨城労働局・筑西労働基準監督署が、廃棄物処理会社と同社の取締役を書類送検しました。工場で、廃タイヤを粉砕するベルトコンベヤーの清掃や調整の作業をしていた20代の労働者が、機械の下側にある回転ローラーに腕を巻き込まれ、外傷性窒息による低酸素脳症で死亡しました。清掃・調整作業中に機械の運転を停止させなかったとして、労働安全衛生法第20条第1号、労働安全衛生規則第107条第1項に違反した疑いによります。
労働安全衛生規則第107条には、次のように定められています。
事業者は、機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りでない。
2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠を掛け、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。
労働安全衛生規則第107条(掃除等の場合の運転停止等)
◾️70代の労働者が転落死
11月15日、栃木労働局・日光労働基準監督署が、土木工事会社と同社の代表取締役、専務取締役を書類送検しました。土木工事現場にて、木材チップ発酵用のピットを造る作業中、深さ2.3~2.5メートルのピットの開口部付近で重機の引き上げ準備をしていた70代の労働者が転落して重傷を負い、8ヶ月後に死亡しました。ピットの開口部に手すりを設けるなどの転落防止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第519条に違反した疑いによります。
労働安全衛生規則第519条には、次のように定められています。
事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆おおい等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。
2 事業者は、前項の規定により、囲い等を設けることが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。
労働安全衛生規則第519条(作業床の設置等)