2024年9月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

9月期に認定された死者数71人、死傷者数1万1170人

 10月18日、厚労省が8月集計分の労働災害発生状況を公表し、9月10日~10月7日(以下「9月期」)までの1ヶ月で、2024年1月以降9月末までの労災事故について、新たに死者数71人、死傷者数1万1170人が明らかになりました。

 累計で2024年の労災死者数は現在508人となっており、前年の同時期の506人より0.4%増加しています。

 一方で死傷者数は8万8421人と、前年同時期の8万7761人より660人、0.8%増加しています。

9月期の主な書類送検事案

◾️墜落した役員に激突され77歳労働者が死亡

 9月17日、福岡労働局・田川労働基準監督署が、元請けの建設会社と同社の現場責任者、下請けの建設会社と同社の取締役を書類送検しました。汚水処理場改築工事現場にて、深さ約3.4メートルのピットの内部で、77歳の労働者がコンクリートのがれきを地上へ搬出する作業を行っていた際に、地上で指示を行っていた取締役がピット内に墜落し、激突されて死亡しました。ピットの周囲に囲いや手すりを設けるなどの墜落防止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第31条、労働安全衛生規則第653条に違反した疑いによります。 

 労働安全衛生規則第653条には、次のように定められています。

 注文者は、法第三十一条第一項の場合において、請負人の労働者に、作業床、物品揚卸口、ピツト、坑又は船舶のハツチを使用させるときは、これらの建設物等の高さが二メートル以上の箇所で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるところに囲い、手すり、覆おおい等を設けなければならない。ただし、囲い、手すり、覆おおい等を設けることが作業の性質上困難なときは、この限りでない。

2 注文者は、前項の場合において、作業床で高さ又は深さが一・五メートルをこえる箇所にあるものについては、労働者が安全に昇降するための設備等を設けなければならない。

労働安全衛生規則第653条(物品揚卸口等についての措置)

◾️77歳の派遣労働者が墜落死

 9月20日、愛知労働局・豊田労働基準監督署が、輸送用機械器具製造会社らを書類送検しました。77歳の派遣労働者が高さ3.8メートルの堤防で草刈作業をしていた際に、堤防の端から川へ墜落して死亡しました。防網を張り、墜落制止用器具を使用させるなどの墜落防止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第21条第2項、労働安全衛生規則第519条第2項に違反した疑いによります。 

 労働安全衛生規則第519条には、次のように定められています。

 事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆おおい等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。

2 事業者は、前項の規定により、囲い等を設けることが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則第519条(作業床の設置等)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です