2024年8月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

8月期に認定された死者数71人、死傷者数1万1703人

 9月19日、厚労省が8月集計分の労働災害発生状況を公表し、8月8日~9月9日(以下「8月期」)までの1ヶ月で、2024年1月以降8月末までの労災事故について、新たに死者数71人、死傷者数1万1703人が明らかになりました。

 累計で2024年の労災死者数は現在437人となっており、前年の同時期の428人より2.1%増加しています。

 一方で死傷者数は7万7251人と、前年同時期の7万6131人より1120人、1.5%増加しています。

8月期の主な書類送検事案

◾️70代労働者がブレーカごと投げ出されて死亡

 8月20日、熊本労働局・人吉労働基準監督署が、建設会社と同社の現場責任者を書類送検しました。豪雨で崩落して不通になった村道の復旧工事現場で、70代の労働者が解体用の車両系建設機械(ブレーカ)を使用して、道路のり面のコンクリートの擁壁を粉砕する作業をしていた際に、破砕中に滑り落ちたコンクリート擁壁の塊にブレーカごと押し出されて川岸に転落し、投げ出されてブレーカとコンクリートの塊に挟まれて死亡しました。車両系建設機械を用いた作業にもかかわらず、作業方法などを定めた作業計画を策定しなかったとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第155条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第155条には、次のように定められています。

 事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、あらかじめ、前条の規定による調査により知り得たところに適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行なわなければならない。

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。

一 使用する車両系建設機械の種類及び能力

二 車両系建設機械の運行経路

三 車両系建設機械による作業の方法

3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項第二号及び第三号の事項について関係労働者に周知させなければならない。

労働安全衛生規則第155条(作業計画)

◾️70代労働者が屋根を踏み抜いて墜落死

 9月2日、宮崎労働局・延岡労働基準監督署が、運送会社と同社の常務を書類送検しました。同社の車庫の修理のため、70代の労働者が高さ約5メートルのスレート屋根に上って、梁を補修していた際に、屋根を踏み抜いて墜落死しました。幅30センチの歩み板を設け、防網を張るなどスレート屋根の踏み抜き防止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第524条 に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第524条には、次のように定められています。

 事業者は、スレート、木毛板等の材料でふかれた屋根の上で作業を行なう場合において、踏み抜きにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、幅が三十センチメートル以上の歩み板を設け、防網を張る等踏み抜きによる労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則第524条(スレート等の屋根上の危険の防止)

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