2024年6月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

6月期に認定された死者数65人、死傷者数1万1431人

 7月19日、厚労省が6月集計分の労働災害発生状況を公表し、6月8日~7月9日(以下「6月期」)までの1ヶ月で、2024年1月以降6月末までの労災事故について、新たに死者数65人、死傷者数1万1431人が明らかになりました。

 累計で2024年の労災死者数は現在299人となっており、前年の同時期の302人より1.0%減少しています。

 一方で死傷者数は5万4134人と、前年同時期の5万2956人より1178人、2.2%増加しています。

6月期の主な書類送検事案

◾️60代の労働者が墜落死

 6月18日、岩手労働局・花巻労働基準監督署が、建設会社と同社の専務を書類送検しました。木造平屋建築工事の現場で、60代の労働者が高さ約4.7メートルの木製の足場に乗って、屋根部分に雨避けのシートをかける養生作業をしていたところ、基礎コンクリート部分に転落して死亡しました。作業床を設ける、防網を張り、墜落制止用器具を使用させるなどの墜落防止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第518条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第518条には、次のように定められています。

 事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。

2 事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則第518条(作業床の設置等)

◾️20代の労働者が圧砕機と資材が当たって死亡

 6月20日、沖縄労働局・沖縄労働基準監督署が、元請けの建設会社と同社の現場代理人、下請けの解体工事会社と同社の車両系建設機械オペレーターを書類送検しました。住宅解体工事現場において、コンクリート圧砕機の先端に帯ロープをかけて足場資材をつり上げ、トラックに積み込む作業をしていた際に、コンクリート圧砕機が転倒し、コンクリート圧砕機とつり上げた資材が当たり20代の労働者が死亡しました。以下の点に関して、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第164条、労働安全衛生法第30条、労働安全衛生規則第636条に違反した疑いによります。 

・コンクリート圧砕機のオペレーターが同機械の用途以外である荷のつり上げ作業を行ったこと

・元請けの労働者及び関係請負人の作業が同一の場所において行われることによって生じる労働災害を防止するための協議組織を設置しなかったこと

・元請と関係請負人との間、関係請負人相互間における連絡及び調整を行わなかったこと

・作業場所の巡視を作業日ごとに1回行っていなかったこと

 労働安全衛生規則第636条には、次のように定められています。

 特定元方事業者は、法第三十条第一項第二号の作業間の連絡及び調整については、随時、特定元方事業者と関係請負人との間及び関係請負人相互間における連絡及び調整を行なわなければならない。

労働安全衛生規則第636条(作業間の連絡及び調整)

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