2025年8月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

8月期に認定された死者数57人、死傷者数1万1151人

 9月30日、厚労省が8月集計分の労働災害発生状況を公表し、8月8日~9月8日(以下「8月期」)までの1ヶ月で、2025年1月以降8月末までの労災事故について、新たに死者数57人、死傷者数1万1151人が明らかになりました。

 累計で2025年の労災死者数は現在420人となっており、前年の同時期の437人より3.9%減少しています。

 一方で死傷者数は7万5763人と、前年同時期の7万7251人より1488人、1.9%減少しています。

8月期の主な書類送検事案

◾️清掃作業をしていた労働者が機械に巻き込まれて死亡

 8月18日、鹿児島労働局・名瀬労働基準監督署が、公益財団法人と同法人の工場責任者を書類送検しました。工場にて、サトウキビ原料についた葉や泥を落とすための機械を運転したまま、労働者が排出コンベヤーのローラーについた泥をヘラで掻き落とす作業をしていた際に、コンベヤーのベルトとローラーの間に左腕と頭部を巻き込まれ、窒息して死亡しました。機械の清掃作業中にもかかわらず、機械の運転を停止しなかったとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第107条に違反した疑いによります。 

 労働安全衛生規則第107条には、次のように定められています。

 事業者は、機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りでない。

2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠を掛け、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則第107条(掃除等の場合の運転停止等)

◾️60代の労働者が作業床から墜落死

 8月20日、長崎労働局・長崎労働基準監督署が、解体工事会社と同社の代表取締役を書類送検しました。4階建ての商業ビルの解体工事現場で、地上から高さ約10メートルのテラスを作業床として、60代の労働者が散水作業をしていた際に、テラスの作業床の端と建物に組み立てた外部足場との間の約1.2メートルの隙間から地面に墜落して死亡しました。作業床の端に手すりを設置するなどの墜落防止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第519条に違反した疑いによります。 

 労働安全衛生規則第519条には、次のように定められています。

  事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆おおい等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。

2 事業者は、前項の規定により、囲い等を設けることが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則第519条(作業床の設置等)

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