2025年4月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

4月期に認定された死者数39人、死傷者数9142人

 5月23日、厚労省が4月集計分の労働災害発生状況を公表し、4月5日~5月7日(以下「4月期」)までの1ヶ月で、2025年1月以降4月末までの労災事故について、新たに死者数39人、死傷者数9142人が明らかになりました。

 累計で2025年の労災死者数は現在181人となっており、前年の同時期の187人より3.2%減少しています。

 一方で死傷者数は3万1300人と、前年同時期の3万1849人より549人、1.7%減少しています。

4月期の主な書類送検事案

◾️70代の労働者が倒れてきた木に激突して死亡

 4月10日、宮城労働局・石巻労働基準監督署が、森林組合と同組合の現場責任者を書類送検しました。70代の労働者が、山林で木の伐採作業をしていたところ、倒れてきた木に頭をぶつけ、脳挫傷で死亡しました。木が倒れてきた際の退避場所をあらかじめ定めず、危険を生じる恐れがある木の破片を現場から取り除かせていなかったとして、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第477条に違反した疑いによります。 

 労働安全衛生規則第477条には、次のように定められています。

 事業者は、伐木の作業(伐木等機械による作業を除く。以下同じ。)を行うときは、立木を伐倒しようとする労働者に、それぞれの立木について、次の事項を行わせなければならない。

一 伐倒の際に退避する場所を、あらかじめ、選定すること。

二 かん木、枝条、つる、浮石等で、伐倒の際その他作業中に危険を生ずるおそれのあるものを取り除くこと。

三 伐倒しようとする立木の胸高直径が二十センチメートル以上であるときは、伐根直径の四分の一以上の深さの受け口を作り、かつ、適当な深さの追い口を作ること。この場合において、技術的に困難である場合を除き、受け口と追い口の間には、適当な幅の切り残しを確保すること。

2 立木を伐倒しようとする労働者は、前項各号に掲げる事項を行わなければならない。

労働安全衛生規則第477条(伐木作業における危険の防止)

◾️70代労働者が木材に激突して死亡

 4月15日、秋田労働局・大曲労働基準監督署が、木製品製造会社と同社の代表取締役を書類送検しました。労働者が2人一組で木材加工用丸のこ盤を使って木材を切断していたところ、木材が丸のこ盤の歯に引っかかり機械から飛び出し、木材を丸のこ盤に押し込む作業を担当していた70代の労働者に激突して死亡しました。木材の飛び出しを予防する安全装置のない木材加工用丸のこ盤を使用させたとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第122条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第122条には、次のように定められています。

 事業者は、木材加工用丸のこ盤(横切用丸のこ盤その他反ぱつにより労働者に危険を及ぼすおそれのないものを除く。)には、割刃その他の反ぱつ予防装置を設けなければならない。

労働安全衛生規則第122条(丸のこ盤の反ぱつ予防装置)

◾️70代労働者がダンプトラックにひかれて死亡

 4月17日、岩手労働局・花巻労働基準監督署が、土木工事会社と同社の専務取締役を書類送検しました。大雨の影響で損傷した工事現場に通じる道路の復旧作業にて、砕石を敷く作業中に後進してきた最大積載量約4トンのダンプトラックにひかれて、70代の労働者が死亡しました。ダンプトラックの作業計画を定めなかったとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第151条の3に違反した疑いによります。 

 労働安全衛生法第151条の3には、次のように定められています。

 事業者は、車両系荷役運搬機械等を用いて作業(不整地運搬車又は貨物自動車を用いて行う道路上の走行の作業を除く。以下第百五十一条の七までにおいて同じ。)を行うときは、あらかじめ、当該作業に係る場所の広さ及び地形、当該車両系荷役運搬機械等の種類及び能力、荷の種類及び形状等に適応する作業計画を定め、かつ、当該作業計画により作業を行わなければならない。

2 前項の作業計画は、当該車両系荷役運搬機械等の運行経路及び当該車両系荷役運搬機械等による作業の方法が示されているものでなければならない。

3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項の規定により示される事項について関係労働者に周知させなければならない。

労働安全衛生法第151条の3(作業計画)

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