2025年2月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

2月期に認定された死者数49人、死傷者数8112人

 3月24日、厚労省が2月集計分の労働災害発生状況を公表し、2月8日~3月7日(以下「2月期」)までの1ヶ月で、2025年1月以降2月末までの労災事故について、新たに死者数49人、死傷者数8112人が明らかになりました。

 累計で2025年の労災死者数は現在93人となっており、前年の同時期の87人より6.9%増加しています。

 一方で死傷者数は1万2512人と、前年同時期の1万2246人より266人、2.2%増加しています。

2月期の主な書類送検事案

◾️70代の労働者がスレート屋根を踏み抜いて墜落死

 2月14日、茨城労働局・日立労働基準監督署が、古物売買・リサイクル会社と同社の代表を書類送検しました。老朽化した同社の鉄骨平屋の倉庫の屋根の穴を補修作業していた70代の労働者が、スレート屋根を踏み抜いて高さ約5メートル下に墜落し、積んであった商品で頭部などを打ち、一週間後に死亡しました。幅30センチ以上の歩み板を設け、防網を張るなどのスレート屋根の踏み抜き防止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第21条第2項、労働安全衛生規則第524条に違反した疑いによります。 

 労働安全衛生規則第524条には、次のように定められています。

 事業者は、スレート、木毛板等の材料でふかれた屋根の上で作業を行なう場合において、踏み抜きにより労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、幅が三十センチメートル以上の歩み板を設け、防網を張る等踏み抜きによる労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則第524条(スレート等の屋根上の危険の防止)

◾️60代の有期雇用労働者が転落死

 2月18日、北海道労働局・札幌中央労働基準監督署が、農業協同組合と同組合の現場指揮者を書類送検しました。米麦貯蔵施設の高さ5.6メートルのタンクの上で、60代の有期雇用労働者が堆積したもみ殻を送気ホースを使用して清掃していたところ、架設通路の手すりのない箇所からタンクの底に転落し死亡しました。墜落制止用器具を安全に取り付けるために網などの設備等を設けなかったとして、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第521条に違反した疑いによります。現場指揮者は「危険は認識していたが、安全に作業すれば大丈夫だと思っていた」と説明したといいます。北海道警察も現場責任者ら4名を書類送検しました。

 労働安全衛生規則第521条には、次のように定められています。

 事業者は、高さが二メートル以上の箇所で作業を行う場合において、労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させるときは、要求性能墜落制止用器具等を安全に取り付けるための設備等を設けなければならない。

2 事業者は、労働者に要求性能墜落制止用器具等を使用させるときは、要求性能墜落制止用器具等及びその取付け設備等の異常の有無について、随時点検しなければならない。

労働安全衛生規則第521条(要求性能墜落制止用器具等の取付設備等)

◾️60代の派遣労働者が激突して死亡

 2月25日、千葉労働局・東金労働基準監督署が、土木工事会社と同社の代表取締役を書類送検しました。伐採工事現場で60代の派遣労働者が立木をチェーンソーで伐木していたところ、伐採した木が縦に裂け、裂けた部分がぶつかり死亡しました。チェーンソーの使用にあたり法定の特別教育を受けさせなかった疑い、飛来物や落下の危険から身を守る保護帽を着用させなかったとして、労働安全衛生法第59条、労働安全衛生規則第36条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生法第59条には、次のように定められています。

 事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。

2 前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。

3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行なわなければならない。

労働安全衛生法第59条(安全衛生教育)

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