2025年1月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案
1月期に認定された死者数44人、死傷者数4400人
2月26日、厚労省が1月集計分の労働災害発生状況を公表し、1月8日~2月7日(以下「1月期」)までの1ヶ月で、2025年1月以降1月末までの労災事故について、新たに死者数44人、死傷者数4400人が明らかになりました。
累計で2025年の労災死者数は現在44人となっており、前年の同時期の37人より18.9%増加しています。
一方で死傷者数は4400人と、前年同時期の4049人より351人、8.7%増加しています。
1月期の主な書類送検事案
◾️60代派遣労働者がはねられて死亡
1月15日、滋賀労働局・彦根労働基準監督署が、土木建築工事会社と同社の現場責任者を書類送検しました。道路舗装工事の際に、搭乗型ローラー車で土砂を転圧していたところ、バックしてきた同車に60代の派遣労働者がはねられて死亡しました。立ち入り禁止や誘導者を配置するなどの接触防止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第158条に違反した疑いによります。
労働安全衛生規則第158条には、次のように定められています。
事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、運転中の車両系建設機械に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に、労働者を立ち入らせてはならない。ただし、誘導者を配置し、その者に当該車両系建設機械を誘導させるときは、この限りでない。
2 前項の車両系建設機械の運転者は、同項ただし書の誘導者が行なう誘導に従わなければならない。
労働安全衛生規則第158条(接触の防止)
◾️20代の労働者が感電死
1月17日、群馬労働局・高崎労働基準監督署が、電気設備工事会社と同社の工事部長を書類送検しました。倉庫の新築工事現場で、通電した高電圧の電気を低電圧に変圧する設備の内部で20代の労働者が整線作業をしていたところ、低圧電流が流れる金属製の板に左ひじが接触して感電し、その後死亡しました。金属製の板に絶縁シートを被せるなどの感電防止措置を講じないまま配線作業をさせたとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第329条に違反した疑いによります。
労働安全衛生規則第329条には、次のように定められています。
事業者は、電気機械器具の充電部分(電熱器の発熱体の部分、抵抗溶接機の電極の部分等電気機械器具の使用の目的により露出することがやむを得ない充電部分を除く。)で、労働者が作業中又は通行の際に、接触(導電体を介する接触を含む。以下この章において同じ。)し、又は接近することにより感電の危険を生ずるおそれのあるものについては、感電を防止するための囲い又は絶縁覆いを設けなければならない。ただし、配電盤室、変電室等区画された場所で、事業者が第三十六条第四号の業務に就いている者(以下「電気取扱者」という。)以外の者の立入りを禁止したところに設置し、又は電柱上、塔上等隔離された場所で、電気取扱者以外の者が接近するおそれのないところに設置する電気機械器具については、この限りでない。
労働安全衛生規則第329条(電気機械器具の囲い等)
◾️80代の労働者が挟まれて死亡
1月28日、滋賀労働局・大津労働基準監督署が、産業廃棄物処理会社と同社の社長を書類送検しました。事業場にて、80代の労働者が古紙の圧縮梱包機を停止して、内部に溜まった屑をエアーブローで吹き飛ばす作業をしていたところ、別の労働者が梱包機を起動させ、機械の本体フレームと可動フレームとの間に挟まれて死亡しました。機械を停止しての清掃作業中に、別の労働者による機械の運転の再開を防止する措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第107条に違反した疑いによります。
労働安全衛生規則第107条には、次のように定められています。
事業者は、機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理又は調整の作業を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止しなければならない。ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りでない。
2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装置に錠を掛け、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じなければならない。
労働安全衛生規則第107条(掃除等の場合の運転停止等)