2024年10月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

10月期に認定された死者数62人、死傷者数1万2255人

 11月19日、厚労省が10月集計分の労働災害発生状況を公表し、10月8日~11月7日(以下「10月期」)までの1ヶ月で、2024年1月以降10月末までの労災事故について、新たに死者数62人、死傷者数1万2255人が明らかになりました。

 累計で2024年の労災死者数は現在570人となっており、前年の同時期の545人より4.6%増加しています。

 一方で死傷者数は10万676人と、前年同時期の9万9353人より1323人、1.3%増加しています。

10月期の主な書類送検事案

◾️アルミ版が落下して20代の労働者が死亡

 10月11日、大分労働局・大分労働基準監督署が、金属加工会社と同社の安全管理担当者を書類送検しました。工場において、クレーンで重量合計約250キロのアルミ板2枚をつり上げて移動させていた際に、クレーンのフックから吊り具のベルトが外れ、クレーンを操作していた20代の労働者の頭部にアルミ板が落下して死亡しました。法定の技能講習を修了していない労働者にクレーンの玉掛け業務を行わせたとして、労働安全衛生法第61条、労働安全衛生法施行令第20条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生法第61条には、次のように定められています。

    事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。

2前項の規定により当該業務につくことができる者以外の者は、当該業務を行なつてはならない。

3第一項の規定により当該業務につくことができる者は、当該業務に従事するときは、これに係る免許証その他その資格を証する書面を携帯していなければならない。

4職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項(同法第二十七条の二第二項において準用する場合を含む。)の認定に係る職業訓練を受ける労働者について必要がある場合においては、その必要の限度で、前三項の規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。

労働安全衛生法第61条(就業制限)

◾️70代の労働者が墜落死

 10月30日、大阪労働局・泉大津労働基準監督署が、パン・菓子製造販売会社と同社の工場次長を書類送検しました。工場において、高さ2.5メートルのコンベヤーの天板上でモップを使用した拭き掃除をしていた際に、70代の労働者が足を踏み外して墜落死しました。墜落制止用器具を使用させなかったとして、労働安全衛生法第21条、労働安全衛生規則第519条に違反した疑いによります。  

 労働安全衛生規則第519条には、次のように定められています。

 事業者は、高さが二メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆おおい等(以下この条において「囲い等」という。)を設けなければならない。

2 事業者は、前項の規定により、囲い等を設けることが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に囲い等を取りはずすときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

労働安全衛生規則第519条(作業床の設置等)

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