2024年4月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案
4月期に認定された死者数63人、死傷者数10194人
5月20日、厚労省が4月集計分の労働災害発生状況を公表し、4月5日~5月7日(以下「4月期」)までの1ヶ月で、2024年1月以降4月末までの労災事故について、新たに死者数63人、死傷者数10194人が明らかになりました。
累計で2024年の労災死者数は現在187人となっており、前年の同時期の188人より0.5%減少しています。
一方で死傷者数は31849人と、前年同時期の31586人より263人、0.8%増加しています。
4月期の主な書類送検事案
■頭部につかみ具が激突して死亡
4月5日、福井労働局・福井労働基準監督署が、産業廃棄物処理会社と同社の代表取締役を書類送検しました。同社の産廃保管庫敷地内において、解体用つかみ機が急旋回した際に、近くでスコップで作業していた別の労働者の頭部につかみ具が激突して死亡しました。法定の技能講習を修了していない労働者に機体重量3トン以上の解体用つかみ機を運転させたとして、労働安全衛生法第61条、労働安全衛生法施行令第20条に違反した疑いによります。
労働安全衛生法第61条には、次のように定められています。
事業者は、クレーンの運転その他の業務で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の当該業務に係る免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う当該業務に係る技能講習を修了した者その他厚生労働省令で定める資格を有する者でなければ、当該業務に就かせてはならない。
2 前項の規定により当該業務につくことができる者以外の者は、当該業務を行なつてはならない。
3 第一項の規定により当該業務につくことができる者は、当該業務に従事するときは、これに係る免許証その他その資格を証する書面を携帯していなければならない。
4 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項(同法第二十七条の二第二項において準用する場合を含む。)の認定に係る職業訓練を受ける労働者について必要がある場合においては、その必要の限度で、前三項の規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。
労働安全衛生法第61条(就業制限)
◾️70代の労働者が転落して溺死
4月10日、新潟労働局・上越労働基準監督署が、機械修理会社と同社の代表取締役を書類送検しました。水力発電所において、70代の労働者が溶接作業のため、導水路から立坑を通って機材を運び出していたところ、通路として歩いていた堤防から約11メートル下に転落して失神し、水深3メートルの水たまりにずり落ちて溺死しました。作業場を行き来するための安全な通路を確保していなかったとして、労働安全衛生法第23条、労働安全衛生規則第540条に違反した疑いによります。
労働安全衛生規則第540条には、次のように定められています。
事業者は、作業場に通ずる場所及び作業場内には、労働者が使用するための安全な通路を設け、かつ、これを常時有効に保持しなければならない。
2 前項の通路で主要なものには、これを保持するため、通路であることを示す表示をしなければならない。
労働安全衛生規則第540条(通路)