2023年11月の労災ニュース:新たな死傷者数、主な書類送検事案

11月期に認定された死者数64人、死傷者数1万1427人

 12月18日、厚労省が11月集計分の労働災害発生状況を公表し、11月8日~12月7日(以下「11月期」)までの1ヶ月で、2023年1月以降11月末までの労災事故について、新たに死者数64人、死傷者数1万1427人が明らかになりました。

 累計で2023年の労災死者数は現在609人となっており、前年の同時期の648人より6%減少しています。

 一方で死傷者数は11万780人と、前年同時期の10万8051人より2729人、2.5%増加しています。

11月期の主な書類送検事案

◾️20代の労働者が感電死

 11月9日、千葉労働局・木更津労働基準監督署が、電気設備工事会社と同社の現場責任者を書類送検しました。線路脇にある電柱の配線を取り替える工事中、変圧器の部品を取り外して、新しい部品を取付ける作業をしていた際に、20代の労働者が感電による電撃傷で死亡しました。誤通電を防ぐための短絡接地器具を接続する作業を怠ったとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第339条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第339条には、次のように定められています。

 事業者は、電路を開路して、当該電路又はその支持物の敷設、点検、修理、塗装等の電気工事の作業を行なうときは、当該電路を開路した後に、当該電路について、次に定める措置を講じなければならない。当該電路に近接する電路若しくはその支持物の敷設、点検、修理、塗装等の電気工事の作業又は当該電路に近接する工作物(電路の支持物を除く。以下この章において同じ。)の建設、解体、点検、修理、塗装等の作業を行なう場合も同様とする。

一 開路に用いた開閉器に、作業中、施錠し、若しくは通電禁止に関する所要事項を表示し、又は監視人を置くこと。

二 開路した電路が電力ケーブル、電力コンデンサー等を有する電路で、残留電荷による危険を生ずるおそれのあるものについては、安全な方法により当該残留電荷を確実に放電させること。

三 開路した電路が高圧又は特別高圧であつたものについては、検電器具により停電を確認し、かつ、誤通電、他の電路との混触又は他の電路からの誘導による感電の危険を防止するため、短絡接地器具を用いて確実に短絡接地すること。

2 事業者は、前項の作業中又は作業を終了した場合において、開路した電路に通電しようとするときは、あらかじめ、当該作業に従事する労働者について感電の危険が生ずるおそれのないこと及び短絡接地器具を取りはずしたことを確認した後でなければ、行なつてはならない。

労働安全衛生規則第339条(停電作業を行なう場合の措置)

■労働者が墜落死

 11月9日、徳島労働局・鳴門労働基準監督署が、建設会社と同社の代表取締役を書類送検しました。橋の塗装作業のための足場を組み立てていた労働者が約30メートル下の地面に転落して死亡しました。墜落制止用器具の使用の監視を怠ったとして、労働安全衛生法第14条、労働安全衛生規則第566条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第566条には、次のように定められています。

 事業者は、足場の組立て等作業主任者に、次の事項を行わせなければならない。ただし、解体の作業のときは、第一号の規定は、適用しない。

一 材料の欠点の有無を点検し、不良品を取り除くこと。

二 器具、工具、要求性能墜落制止用器具及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと。

三 作業の方法及び労働者の配置を決定し、作業の進行状況を監視すること。

四 要求性能墜落制止用器具及び保護帽の使用状況を監視すること。

労働安全衛生規則第566条(足場の組立て等作業主任者の職務)

◾️60代労働者がトラクター・ショベルに接触して死亡

 11月13日、福岡労働局・福岡東労働基準監督署が、産業廃棄物処理会社と同社の処理センター長を書類送検しました。産業廃棄物処理施設において、60代の労働者が産業廃棄物の積み込み作業をしていたところ、走行中のトラクター・ショベルに接触して死亡しました。車両系建設機械を使用する際、労働者の立ち入りを禁止するか誘導者を配置するという接触防止措置を講じなかったとして、労働安全衛生法第20条、労働安全衛生規則第158条に違反した疑いによります。

 労働安全衛生規則第158条には、次のように定められています。

 事業者は、車両系建設機械を用いて作業を行なうときは、運転中の車両系建設機械に接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのある箇所に、労働者を立ち入らせてはならない。ただし、誘導者を配置し、その者に当該車両系建設機械を誘導させるときは、この限りでない。

2 前項の車両系建設機械の運転者は、同項ただし書の誘導者が行なう誘導に従わなければならない。

労働安全衛生規則第158条(接触の防止)

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