労災問題Q&A(7)労災に遭ったら社長から民間保険を使うといわれました

Q 労災事故に遭い大怪我をしました。社長は、会社が入っている民間保険を使う、足りない分は自分が支払うから労災申請はするなと言います。従って良いのでしょうか?

A その話には絶対に乗ってはいけません。構わず労災申請をしましょう。

 このようなことは、建設業でよく起きます。社長が自腹を切ってでも民間保険を使おうとするのは、建設現場での労災が「元請責任」とされており、労災申請をすれば、元請から「迷惑をかけたな」と問い詰められることになるためです。そこで民間の保険を使ってごまかしてしまおうとしようとする経営者が多いのです。

 しかし、これに簡単に乗ってはいけません。

 まず第一に、あなたが困ることになります。
 後遺症が大きな問題です。労災保険には後遺障害の重さにより障害年金があり、被災者は死ぬまで年金を受けられます。ところが民間の保険では労災保険にあるような死ぬまで受けられる障害年金はありませんし、社長がそんな賠償をしてくれるはずがありません。

 自分で勝手にそんな大した怪我じゃないし治るなどと判断してはいけません。怪我は時に素人が想像もつかないような悪化の仕方をして後々後遺症が残る場合もしばしばあります。あとから労災保険に切り替えようと思っても「現任者がいない」「そんな労災はなかった」と否定され、簡単には通らなくなってしまうこともあります。
 
 そして第二に安全が守られず、同じような労災が繰り返されることになります。
 問題は労災保険を使うことではなく、労働基準監督署への私傷病報告がなされないことです。法律は、労働災害があった場合に労働基準監督署に報告する義務を事業者に課しています。これを避けるために労災かくしが起きるのです。
 いうまでもないことですが、労災の報告が義務付けられているのは、労災の原因を追及し、事業者に実行させることで労災事故を減らすためです。
 
 以上の通りの理由で、労災申請をすべきです。それを拒否する権利は誰にもありません。本当にたくさんの方がトラブルになっていることですので、ご注意ください。

労災問題Q&A(7)労災に遭ったら社長から民間保険を使うといわれました” に対して1件のコメントがあります。

  1. 佐々木道也 より:

    会社の怪我は必ず労災保険を使ってください。私も会社で労災事故が起きたのですが、労災保険を使わない方向でと会社に言われましたが、ネットで調べ、弁護士に相談して必ず労災申請してくださいとのことでした。もちろんそのつもりでしたし、私は会社に対して不信感を持っています。私の場合会社の同じ社員に怪我をさせられたので、慰謝料請求も考えています。労災申請してください。働くときは働かせて、怪我したときはごまかそうとする。そんな会社は遠慮することなく労災申請しましょう

佐々木道也 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です