◆労災保険制度とは

・仕事や通勤中のケガや病気によって、治療を受けたり、仕事を休んだり、身体に障害が残ったり、亡くなったりした場合に、国が労働者や遺族に対して必要な補償をする制度です。

・労災保険料は会社が全額負担します。

・申請は、勤務先の事業所を管轄する労働基準監督署に対して行います。

 

◆労災保険給付等の一覧(保険給付の名前、内容)

・療養補償給付:治療費の全額が補償されます。

・休業補償給付:休業した期間について賃金の80%が補償されます。

・障害補償給付:後遺症が残った場合に、支給されます。

・介護給付:介護を受けている場合に、支給されます。

・遺族給付:労災により死亡した場合に、遺族等へ支給されます。

・葬祭給付:労災により死亡した場合に、遺族等へ葬祭費用が支給されいます。

 

◆労災申請の方法(労災申請の流れ)

(1)会社に連絡

会社にすぐに連絡可能なら、災害が発生したときに報告します。すぐに連絡をするのが困難なときは、医療機関で治療後に連絡を入れるのが適切です。

(2)病院で受診

病院で受診後、療養補償給付たる療養の給付請求書または療養補償給付たる療養の費用請求書を提出します。

①労災認定病院の場合

窓口で労災での負傷である旨を伝え、後日、療養補償給付たる療養の給付請求書を病院に提出する(病院から労基署に請求)。

②労災指定外病院の場合

費用はいったん本人または会社が建て替え(10割負担)、後日、療養補償付たる療養の費用請求書を労基署に提出(会社が代理申請するが、本人が申請することも可能)。

(3)労働基準監督署に請求書を提出

労災によって仕事を休んだ期間に賃金が受けられない場合、休業補償給付を受けられます。

これを受けるためには、給付請求書を労働基準監督署へ提出します。

(4)労働基準監督署による調査

労働基準監督署が、ケガや病気の発症と業務との因果関係を調べるため、労働者や会社に聞き取り調査を行います。また、労働者を治療した医療機関に対して調査することもあります。

(5)労災の認定

労災認定基準に基づいて労災と認定されれば、各種の保険給付が受けられます。

 

※非認定の場合

①労働者災害補償保険審査官へ審査請求

・労災が非認定になったら、労働者は労働者災害補償保険審査官に審査のやり直しを請求できます。

・労働基準監督署の労災非認定から3カ月以内に審査請求をしなければなりません。

 

②労働保険審査会へ再審査の請求

・労働者災害補償保険審査官が「労災とは認定できない」と判断した場合、労働者は「労働保険審査会」に「再審査請求」することができます。

・もし労働保険審査会が「非認定」とし、労働者がそれも不服とした場合、次は裁判所に提訴することができます。

 

◆労災申請の流れのポイント

①労災申請には時効があります

時効期間は、障害や死亡に関する労災は5年、治療や休業補償に関する労災は2年となっています。

②労災を判断するのは労基署であり会社ではありません

③証拠の確保は非常に重要

労災隠しをする企業が多いので、労災を証明できるよう、できるだけ証拠を集めることが重要です。