労働災害が頻発するベスト3業界は、建設業、運輸業、製造業です。

ここでは、その3つの業界において具体的にどのような労災が起きているのかを見ていきます。

◆建設業での労災事故・過重労働
建設業では死亡事故が他の産業に比べて圧倒的に多く、2017年度は前年度から10%も増えて323人が亡くなっています。建設業で働いていて亡くなった労働者の死亡原因で最も多いのは高所から「転落・転倒」です。例えば、新名神高速道路の建設にあたっては、橋桁が落下し作業員10人が死傷した事故(2016年4月)以外にも、足場が崩れるなどして作業員が転落死したケースが分かっているだけで3件発生しています。工場やビル、高速道路やダムなど大規模な建設物の工事は比較的高所で行われることが多く、死につながるケースが他の産業に比べて多くなっています。

建設業ではこういった事故に加えて、過重労働の問題もよく知られています。国土交通省によれば、建設労働者は平均すると年間251日働いており、これは全産業の平均222日より約30日も多い計算です。労働時間も年間2056時間と、全産業平均の1720時間より300時間以上長くなっています(数字は全て2016年度)。http://www.mlit.go.jp/common/001189945.pdf
納期がタイトになっていくなかで長時間労働が日常化し、過労死・過労自殺も発生しています。工期に追われていたため車に寝泊まりするようになった新国立競技場の建設工事に従事していた現場監督の男性(当時23)が月190時間以上の残業の末、精神疾患を患い自死するという事件も起こっています。

働いているときは建設業では怪我や事故が当たり前と思っていても、実際に怪我をしたり過労で病気になってしまえばその後の生活について考えなければいけません。仕事が原因で起こった事故や病気は労働災害にあたります。さらに事故の原因をつくった会社にはきちんと補償する法的な義務があります。建設作業中に事故に遭った、怪我をしたという方は、一度労災ユニオンにご相談ください。

◆運輸業での労災事故・過重労働
運輸業は、長距離トラックのドライバーからミキサー車の運転手、宅配ドライバーといった幅広い職種を含んでいます。運輸業でも多くの方が亡くなっており(2017年度は137人)、かつその増加率は他の産業を遥かに上回る38.4%です。死亡災害で最も多い事故はやはり交通事故ですが、怪我を含めると「墜落・転落」が年間4000件近く発生しており、危険は運転中だけに限定されていないことがわかります。

例えば、荷降ろしをしていたところトラックの荷台から転落して足の靭帯を断裂する大怪我を負ってしまったり、トラックに乗せようとした「カゴ車」が倒れてきてその下敷きになり亡くなったケースもあります。これらの事例のように、運転中に限らず、運転以外の作業中に事故が起こり怪我をしてしまうというのは珍しくありません。ネット通販が当たり前になり配達ノルマやスピードをできるだけ高めるように会社から求められている今、配達する側の安全性がおざなりにされてしまっています。

さらに、トラック運転手やバス運転手の長時間・過重労働は国が対策を検討するほど深刻な問題となっています。2012年の関越自動車道での高速ツアーバス事故の原因は、長時間労働による居眠り運転だったことが分かっています。また、過労が原因で亡くなる過労死もドライバーの間で増えています。頻発する交通事故の背景にも、長時間・連続勤務による疲れからくる居眠りや操作ミスがあると言われています。

 

◆製造業での労災事故
製造業は、食料品から金属製品、化学製品、自動車などの輸送機械の製造まで多岐にわたりますが、大型の機械を扱うため労災事故が多発しています。多くの企業で安全対策が採られているとはいえ、死亡事故も含めた怪我は日本全国で年間26000件以上起こっています。

製造業の現場では、「転倒」や高所からの「墜落・転落」が頻繁に起こっていますが、中でも深刻なのはプレス機や断裁機、コンベヤーに指や腕を挟まれてしまった、切断してしまったという「はさまれ・巻き込まれ」のケースです。最近でも、機械を止めずに清掃作業をしていたところ内部で回転していたスクリューに右腕を巻き込まれ、肘から下を切断してしまったケースが起こっていたり、過去には印刷通販最大手のプリントパックで大型印刷機の排紙部分に頭を挟まれたという死亡事故が大きな話題となりました。

会社で仕事中に起こった事故や怪我は、全て労災で対応されなければいけません。そもそも、会社には安全装置をつけたり教育訓練をしっかりするなどして、もし労働者が少し誤った操作をしても怪我が起こらないように配慮する義務があります。さらにもし事故が起こってしまった際に「あなたの不注意だから自分で治して」と促すのは、労災隠しといって労働安全衛生法違反に当たります。

さらに、労災では治療費と給料の一定額分(8割)が補償されますが、会社には、給料の残りの部分を支払うだけでなく事故そのものが起きてしまった責任を取る義務が本来あるのです。工場で働いていて怪我をしたのに労災を使わせてくれない、会社がきちんと補償してくれないといった場合は、労災ユニオンにご連絡ください。